TREE CWニコル 宮崎駿 アメニージュ文庫 1991

アニメージュ1988年8月号から1989年7月号の連載および1987年8月号に掲載されたニコルー宮崎の対談
ニコルさんは1940年生まれ、宮崎さんは1941年生まれ、同年代の自然に対する感性が良く分かります。宮崎さんの作り出すアニメの中には自然への畏怖や愛着がいつも感じられるし。ニコルさんは日本の自然を愛し、それをひたすら守ろうとしています。
単一種の植林に反対し原生林保護を訴え、豊かな森をつくろうと自らの資金を注ぎ込んで黒姫に手入れした森を作り始めます。それがアファンの森です。
ニコルさんは決して林業を否定するのではなく、「手入れ」による多様な森を目指します。そこには自然と対峙するのでなく、自然の恵みに生かされる人間の本来の姿があります。
貨幣では換算出来ない森の価値(価値と言うよりはやはり恵みでしょうか)に気づかない人々に嘆きます。都会の人も、森からの水を飲んでいるのに。
「手入れ」とか「覚悟」(台風や地震等への脅威に対する)という文脈は養老孟司さんの思想と全く同じだと感じます。
アファンノ森はニコルさんの寄付により現在は財団になり、後世に受け継がれていくようです。


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