真っ赤なウソ 養老孟司 大正大学出版会 2004
2004年2月の大正大学浜松町サテライト教室で行われた養老さんの連続セミナーを編集したもの。一部Q&Aが入っている。
基本的にはいつもの養老さんの思想であるが、特に宗教に関しての言質が多く、キリスト教と仏教に関する考察が面白いし、また死の問題に於ける医療と宗教の関係もなるほどと思わせる。
1章 私と宗教の関係
2章 科学の結論がお経だった
3章 「全知全能」と「やぶの中」
4章 マスメディアが言葉を軽くした
5章 真っ赤なウソ
6章 死ぬことと、本気で生きること
7章 人間の欲望には限りがない
備忘録
西洋科学は、キリスト教社会という、ある意味の原理主義という毒に対する解毒剤だ。社会全体として見れば、西洋の自然科学と技術はキリスト教に対する解毒剤で、両方は対になっているというふうに考えられます。
「霊魂の不滅」か「諸行無常」か、どちらの前提を採るかによって、やることが違ってきてしまいます。中略 いつの間にか日本も、言ってみれば一神教型に変わってきています。和魂洋才と言い続けてきたのに、いつも間にか一神教化している。つまりキリスト教化しているんです。しかもやっている本人が気が付いていないで、何でこんなになったんだって、ぶつぶつ文句を言ってるわけです。
ジャーナリズムの報道はすべてのニュースを起こったことの連続として書いたり報道したりという癖がありますから、それにだまされるんです。私は、歴史というのは起こらなかったことの連続として、書かれるべきだと思っています。
民主主義の怖さというのは実はそこにあるんです。今の日本の人に聞いたら、自分は権力者だとは夢にも思っていない、という人がほとんど全員でしょう。実は、今の世界で一番怖いのは庶民なんです。
人間が一番嫌いなのは、自分が「当たり前だ」と思っていることを「それはいけないことだ」と言われることです。そういう風に思いこんでいる人に、「それは違いますよ」と言わなければいけないのが本来の宗教の役目です。

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2004年2月の大正大学浜松町サテライト教室で行われた養老さんの連続セミナーを編集したもの。一部Q&Aが入っている。
基本的にはいつもの養老さんの思想であるが、特に宗教に関しての言質が多く、キリスト教と仏教に関する考察が面白いし、また死の問題に於ける医療と宗教の関係もなるほどと思わせる。
1章 私と宗教の関係
2章 科学の結論がお経だった
3章 「全知全能」と「やぶの中」
4章 マスメディアが言葉を軽くした
5章 真っ赤なウソ
6章 死ぬことと、本気で生きること
7章 人間の欲望には限りがない
備忘録
西洋科学は、キリスト教社会という、ある意味の原理主義という毒に対する解毒剤だ。社会全体として見れば、西洋の自然科学と技術はキリスト教に対する解毒剤で、両方は対になっているというふうに考えられます。
「霊魂の不滅」か「諸行無常」か、どちらの前提を採るかによって、やることが違ってきてしまいます。中略 いつの間にか日本も、言ってみれば一神教型に変わってきています。和魂洋才と言い続けてきたのに、いつも間にか一神教化している。つまりキリスト教化しているんです。しかもやっている本人が気が付いていないで、何でこんなになったんだって、ぶつぶつ文句を言ってるわけです。
ジャーナリズムの報道はすべてのニュースを起こったことの連続として書いたり報道したりという癖がありますから、それにだまされるんです。私は、歴史というのは起こらなかったことの連続として、書かれるべきだと思っています。
民主主義の怖さというのは実はそこにあるんです。今の日本の人に聞いたら、自分は権力者だとは夢にも思っていない、という人がほとんど全員でしょう。実は、今の世界で一番怖いのは庶民なんです。
人間が一番嫌いなのは、自分が「当たり前だ」と思っていることを「それはいけないことだ」と言われることです。そういう風に思いこんでいる人に、「それは違いますよ」と言わなければいけないのが本来の宗教の役目です。

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