もっと早く読めば良かった1冊。
福岡さんの本はいつも感動するというか、非常に勉強になり教えられる。
最初は「国が川を壊す理由ー誰のための川辺川ダムか」、その次が「隠された風景―死の現場を歩く」でした。
前著はタイトル通り、川辺川ダム問題を正面から扱っていて素晴らしい本です。隠された風景はまさに一般の人が目に触れない「死」の問題を多角的に扱っていて、自分は差別問題が未だにある食肉センターに関する項目に非常に興味を覚えました。
そして、今回読んだこの本ですが。本当にもっと早く読むべきでした。
でも今(2009年)に読んでもまったく色あせていません。
市場経済の中で欲望にまかせた物質優先主義によって、モノを得るために働いているヒトの姿が見えてきます。そして、そこに果たして幸せという文字が表現されるのか?
前半部分はそんな現状を福岡さんは自ら、無理はあまりせずに不便を楽しむことでレポートを書き綴っています。
自転車通勤、自販機を使わない、外食しない(弁当をつくる)、エレベーターを使わない、季節外れの野菜を食べない。そして自ら畑を借りで野菜を作り、田んぼを借りて、アイガモ農法でお米も作ってしまいます。
もちろん、完全に上手くいくわけで無いことを正直に吐露していますし、無理なことは無理だと白状しています。
そして特に感動したのは、娘さんがアイガモを自身の手で閉めて食すシーン。まさに屠して食すという当たり前の事を当たり前に(もちろん葛藤や悲しみはあるのでしょうが)行っている。
これは「隠された風景―死の現場を歩く」が背景にあったからこそ出来たのかもしれません。
さらに後半がすごいです。対談です
野田知佑、重松博昭、山尾三省、駄田井正、前原寛、森崎和江、歌野敬、内橋克人、吉岡斉、森岡正博、
山本哲史そして見田宗介。何人かしか知らないのですが、皆さん根っこが一緒なのが凄い。
備忘録的に記しておきます。
山尾:時間というものには二つの相がある。直線的に未来に流れていく進歩する時間、そして自然系の
時間という循環する時間 (内山節さんの時間の定義とほぼ同じでは)
駄田井:贅沢には2種類あると思う。文明的贅沢と文化的贅沢
福岡:豊かさの指標にGDPやGNPはなりえない(物々交換などは数字に表れない)
子育てに関連して
前原:時間とおなじように空間も無くなっている(自然がなくなって人工物で埋まる現状)
福岡:徒党を組む仲間も消えました。時間、空間、仲間、「間」がことごとくなくなっている。
前原:逆にモノばかりどんどん増える
消費のために働いている(働かされている)消費者と生産者の関係をもう一度見直して、真に豊かな生活とは何かを考えてみるのには十分すぎる本だと思います。
すでに本書の中でワークシェアリングの事も書かれていますが、未だに労働組合等の反対で実現しないのは残念でありません。
後書きは泣かされます。ネタばれになるので書かない事にします。他者との関係性の中にある不便が実は幸せを教えてくれるのです。

たのしい不便―大量消費社会を超える
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国が川を壊す理由(わけ)―誰のための川辺川ダムか
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隠された風景―死の現場を歩く
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