本が好き!より献本

〈アンドルー・ラング世界童話集〉全12巻の第7巻
アンドルー・ラング編/西村醇子監修

下記創元社の案内。なんと川端康成が校閲しているんですね。
ただ大人としては、残虐・暴力的なものや、根底に差別的な態度があるモノも是非読んでみたいところです。(もちろん過去に出版されたものを読めばよいのでしょうが)。
いずれにしても、読み継がれる古典というのは人類の大切な遺産でしょう。そしてそこから得られる沢山の教えが未来を明るくしてくれると信じたいですね。



1889年に出た『あおいろの童話集』は、アンドルー・ラングがヴィクトリア時代の英国で、世界各地の伝承文学から、よりすぐりの作品を子どもたちに提供しようとした本でした。なかにおさめられた 37編には、昔話だけでなく、神話、『ガリヴァー旅行記』の一部、作者が特定できる文芸的昔話(アンデルセンなど)が混在していました。『あおいろ』の好評をうけて、1910年までに12冊の童話集が出たほか、編集を変えたものも数種類出て、今日までも絶えることなく読みつがれています。
 日本では1958〜59年にかけて東京創元社から川端康成校閲、野上彰訳で『ラング世界童話全集』全12巻として出版されましたが、後に同じ川端康成校閲、野上彰訳のものに28話追加した全15巻で1963年にポプラ社から、またさらに同じものをもとにさらに再編集されたものが1977〜78年にかけて偕成社文庫から出版されました。このいずれもが、原書に収録された作品の全訳ではなく、各巻の収録作品も原書とはかなり違っていました。

 このたび東京創元社では、日本で最初に〈ラング世界童話全集〉を刊行した出版社として、今回まったく新しい編集、新しい訳で、この〈アンドルー・ラング世界童話集〉を刊行することになりました。すべて、原書の各巻より収録作品を選び直し、昔話としての持ち味や雰囲気を壊さないように、と同時に現代の子どもたち(もちろん大人も)も面白く読めるように工夫して翻訳しました。
 原書の作品全てを収録することはできませんでしたので、今回の編集ではあまりに残虐・暴力的なものや、根底に差別的な態度があると思われるもの、また、アンデルセンやペローのように、日本でも入手しやすいものはなるべく除外するようにしています。また日本の昔話ものぞきました。

 挿絵は英国での最初の刊行時のものを収録。ヘンリー・J・フォードを初めとした黄金期の挿絵画家たちの手になる美しいイラストが物語世界に奥行きを与えています。


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書評/SF&ファンタジー