全26巻
学校で習っている歴史は一体何であったんだろうと思う。網野さんの本は何冊が読んでいるが、おそらく本書がご自身の死を見据えて魂を込めて書かれたのであろう。まさに網野史学集大成なのかな。自分は理系なので、これまで歴史とかにあまり親和性を持っていなかったが、宮本常一さんの民俗学や網野さんの本を読んで日本とはどんな国だったんだろうとふと疑問を持った。そうしたら、日本と名乗ったのは6−7世紀からだと知った訳である。そうする縄文の日本とか、弥生時代の日本とかって文脈的にまったくおかしいわけです。
島国は決して閉鎖的でなく、山国の村は自給自足どころか盛んに他国と交渉があったり。
網野さんの一番の主張は、やはり百姓は必ずしも農民ではない、ということだろう。
多元で多様な人間が生活し、また東と西の違い、さらにアイヌと琉球の民族。
日本という言葉の由来、千三百年続いたこの「日本」の徹底的総括は不可欠だと網野さんは指摘する。
また、女性の地位あるいは共同体の中での位置づけも女性は今よりも実は自由で社会的に平等であったようだ。さらに山村などが決して貧しかった訳で無いことを白水氏の山梨県早川町での調査結果等を引用して指摘してもいる。
「日本」に住む「日本人」をもう一度じっくり真剣に考えるのに良い一冊だと思う。
日本とは何か 日本の歴史〈00〉
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