天童さんの作品を読むのは「永遠の仔」以来である。その作品を凄かった。
人間のもつ多様で多元な性質とでも呼ぶのであろう人間性をこれでもかというほどに綴っていた様に記憶している。
本作品は生老病死の物語であるのだけれど、文末に置かれている参考文献でふと僕は気がついた。文献、映像とあり、最後に展示とある。その展示の項目に置かれているのが「生命のメッセージ展in 早稲田大学」2004年である。これは現在も続けられていて、僕も拝見させていただいた。交通事故や事件と言った不条理とでも言ってよいであろう文脈の中で亡くなって言った人々の記録であり、想い出であり、記憶なのである。
悼む人のゴールは何処なのか分からない、しかし、「亡くなった人は誰に愛され、誰を愛して、そしてどんなことで人に感謝されたのでしょうか」その本質こそが人が人である理由なのでしょう。
生老病死が循環する時間の中で回り続ける、そして人の心の中で人はまた生き続けるのだろう。自然となぜか涙が落ちる、そんな愛のものがたりである。
悼む人
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