読んだものは1985年9刷
まえがき、1955年9月 あとがき1968年5月19日午前4時

まえがきに書いている。珍しい習俗を見つけ出すのがこの学問ではなく、むしろ、なぜ珍しいものが残ったのか、また、なぜ珍しいと思うようになったのか、ということが問題なのである。そこに、生きている現実の社会をとらえて行こうとするものの心構えがなくてはならぬと思っている。そして、ものを見きわめていく方法と考え方は、たえず、自分で新しくして行かねばならない。
柳田国男、渋沢敬三といった日本の民俗学を確立した人、地道に郷土の民俗を調査研究した人々の努力が無文字社会から受け継がれた素晴らしい伝統を今に伝えている。それは支配側からでは記録されないであろう歴史でもある。
もしも、宮本さんの資料が大阪の空襲で焼けていなければ、さらに素晴らしい生き生きとした全国の村々の世界が私たちの前に現れていたことだろう。
まさに旅する巨人の足跡を本書から間違いなく感じてもらえるだろう。
最終章の「あるいてきた道」を除いた部分は武蔵の美術大学短期学部が1983年に同じく未来社より通信教育教材として出している。


宮本常一著作集〈第1〉民俗学への道 (1968年)
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民俗学への道