2000年発表の「月狂ひ」を改題

おそらく「月狂ひ」というタイトルの方が内容を忠実に現わしているようにおもう。
同名の過去の小説を引用しながら、物語が進む。
文庫500ページにも及ぶ大人の恋の物語である。
自分の生い立ちにも影響されたのであろう、主人公の千津46歳、そして49歳の柊介。
出会いは必然なのか、偶然なのか。別れるために出会ったのかもしれない二人。
正しい恋や間違った恋がそこに在るのか。
美しい恋と汚い恋が在るのか。
女性からの視点なのだが、男性の心理描写もさすが小池さんなんだとう。
そして女性は本質的に強いのだろうと感じざるを得ない。
そしてそれは書き手の小池さんの人生をも反映しているのかもしれない。
一男性として非常に考えさせられ作品であった。


浪漫的恋愛 (新潮文庫)
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