Searching for New Perspective of Japanese History.

1.日本の社会は農業社会か
2.海からみた日本列島
3.荘園・公領の世界
4.悪党・海賊と商人・金融業者
5.日本の社会を考え直す

前著ど同様に網野さんが筑摩書房で1993−1994にかけて4回にわたり講演した内容。網野さんの当時(神奈川短期大学を退職し、特任教授として在職)の大きな疑問は「日本人自身が自らの歴史と社会とはたして正確にとれえているのか?」というものであろう。
そしてこれまでの常識とされた歴史が実は思い込みのものが数々あることが明らかとなってくる。
これは網野さんがしばしば指摘する「百姓は農民のみにあらず」で明らかだろう。
宮本常一ですら誤解していたのだから、いかにこの常識が浸透していたか明らかである。
また網野さん自身も10年前の著作に百姓は農民と解して良いと記載したことがあると告白している。そして「村」というものの中には都市も含まれているし、水呑みと言われる人々の中には実は大金持ちがいたりすることを古文書から導く。
そして、山陰あるいは裏日本と呼ばれる地域が実は古くから大陸との関係を持ち独自の文化や歴史を作ってきたことを指摘する。
日本という国、あるいは日本人という本質を考える時、そこに実は多元で多様な人々が蜂の巣の様にあるいは網の目の様に交流し現在に繋がっているということを歴史を読み直す事で再確認できるのだろう。

続・日本の歴史をよみなおす (ちくまプリマーブックス)
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