副題:国有林を荒廃させるもの
四手井綱英(1911− )京大林科卒、京大教授、京都府立大教授
今日から見れば35年前の書である。そしてその内容は四手井さんが、50年代から70年代にかけて雑誌等に投稿した文章なのである。
副題は国有林とあるが、当然であるが県有林やいわゆる公有林すべてが対象と言ってよい。
いかに日本の森林が林業という経済活動の一部とみなされ、貨幣で評価されてきたか、さらにいかに間違った行政やアカデミックの関与により日本の森林が荒れ果てたかを当時の状況を科学的、社会的に分析している。
そしてその指摘がいかに正しかったかは、本書が復刻されて読み継がれていることからも明らかである。
四手井さんは山好きが高じて林学を専攻し、さらに営林局勤務等を通して森に接してきた。そして林野庁が技術者の手に委ねられた昭和20年以降、どれほど国有林が良くなったかと問う。
目次
日本の森林と林業の現状
造林技術のあり方
続・造林技術のあり方
いいたいことをいわせてもらおう
森林生態学の歩み
生産力増強と短期育成
亜寒帯の森林生産力
広葉樹林について
秋田の天然スギ
木曽谷のヒノキ
裏木曽・飛騨視察記
九州の照葉樹林
自然開発・自然保護・林業
最後まで読んでなるほど、なるほどと頭を上下にして日本の森の今後を憂いてみるのは簡単である。
そこでふと脳裏をかすめるのは、どうして四手井さんがここまで科学的に解析し報告しながら国の方針が良い方向に変わらないのだろう?民有林の経営者の中には立派に美林を代々受け継ぎ林業として成り立たせている方もいる。
技術者とは名ばかりの行政官や現場を知らない御用研究者が好き勝手に机の上で絵を書いていたのかもしれない。
今また森林環境税だとか地球温暖化対策という隠れ蓑で日本の森は経済活動の一部に入れられようとしている。
子孫に美田を残さずは納得するが、子孫に日本の素晴らしい森林を残せない我々は歴史の中で笑い者になるだけでなく、その責任を後世まで残してしまうのだろう。
日本の森林―国有林を荒廃させるもの (中公新書)
クチコミを見る
四手井綱英(1911− )京大林科卒、京大教授、京都府立大教授
今日から見れば35年前の書である。そしてその内容は四手井さんが、50年代から70年代にかけて雑誌等に投稿した文章なのである。
副題は国有林とあるが、当然であるが県有林やいわゆる公有林すべてが対象と言ってよい。
いかに日本の森林が林業という経済活動の一部とみなされ、貨幣で評価されてきたか、さらにいかに間違った行政やアカデミックの関与により日本の森林が荒れ果てたかを当時の状況を科学的、社会的に分析している。
そしてその指摘がいかに正しかったかは、本書が復刻されて読み継がれていることからも明らかである。
四手井さんは山好きが高じて林学を専攻し、さらに営林局勤務等を通して森に接してきた。そして林野庁が技術者の手に委ねられた昭和20年以降、どれほど国有林が良くなったかと問う。
目次
日本の森林と林業の現状
造林技術のあり方
続・造林技術のあり方
いいたいことをいわせてもらおう
森林生態学の歩み
生産力増強と短期育成
亜寒帯の森林生産力
広葉樹林について
秋田の天然スギ
木曽谷のヒノキ
裏木曽・飛騨視察記
九州の照葉樹林
自然開発・自然保護・林業
最後まで読んでなるほど、なるほどと頭を上下にして日本の森の今後を憂いてみるのは簡単である。
そこでふと脳裏をかすめるのは、どうして四手井さんがここまで科学的に解析し報告しながら国の方針が良い方向に変わらないのだろう?民有林の経営者の中には立派に美林を代々受け継ぎ林業として成り立たせている方もいる。
技術者とは名ばかりの行政官や現場を知らない御用研究者が好き勝手に机の上で絵を書いていたのかもしれない。
今また森林環境税だとか地球温暖化対策という隠れ蓑で日本の森は経済活動の一部に入れられようとしている。
子孫に美田を残さずは納得するが、子孫に日本の素晴らしい森林を残せない我々は歴史の中で笑い者になるだけでなく、その責任を後世まで残してしまうのだろう。
日本の森林―国有林を荒廃させるもの (中公新書)
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