知る人ぞ知る旅の達人。1956年生まれの蔵前さんはいわゆるバックパッカー系の放浪あるいは漂泊の民なのです。
日本語では世界の歩き方、英語ではロンリープラネット等の解説書は多数あるが、蔵前本は現地に住む人を実に暖かく綴り出す。
飯が安いとか、何処の宿が良いだとか、単に観光地を見るのではなく、人との触れ合いを全面的に文章に折り込み、さらに写真やご自身のイラストで生き生きと描いていく。
「沈没」とは旅の途中で気に入ったところで長居してしまうことであるが、こんな旅行が出来ない人達が実に多いのが日本人なのかもしれない。
長期休暇も無いワーカーホリックな日本人が多く沈没すれば、世界の中の日本がさらに詳細に認識出来るはずである。
蔵前さんの視点が実は世界平和に最も重要だというのは決して言い過ぎではないと確信している。
そして自分が旅人となった時、同じ視線で世界の人と会話が出来たらといつも思っている。



旅ときどき沈没 (講談社文庫)
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