1998年の単行本の新書版
お二人とも既に故人となられている。

女・子供・年寄りこそが歴史の主人公だった。
女が支えた養蚕と織物の歴史。理系人間として、いかにモノを知らないかをこれでもかと言うほど叩きのめされた。(もちろん理系でも歴史や民俗に長けている人はいるだろうが)

目次だけ見ても引き込まれます。
1)歴史からヒントを得る 文学や映像の世界 (もののけ姫に関して)
2)農業中心史観が隠蔽した女性の役割
3)女性史の常識を覆す 桑と養蚕の世界
4)女性と織物の歴史を民俗学が解き明かす
5)老人の役割を認める歴史を発見する
6)古い伝統に裏付けられた接待と談合の歴史
7)日本人の国家意識を作った地図の思想
8)歴史家清水三男の足跡をたどる
9)従軍慰安婦問題を巡って
10)日本社会の歴史を読み直す
1982-1995の対話
歴史と民俗の十字路
衣装の再発見
渋沢敬三の仕事と意義
コメと日本人
新しい日本像を求めて(歴史と民俗のあいだ)

網野さんと言えば、百姓は農民だけではない、と言う強い主張な人というイメージを持っている。そして宮本常一さんの百姓の捉え方は間違っていると指摘した。本書では対談をテキストにしているので、若干はしょられている部分もあり、歴史素人には理解が厳しいところもある。しかし歴史学と民俗学という垣根を飛び越えた対話は非常に興味深く読んでいて面白い。そして歴史認識に学者間で大きな隔たりがあり論争が有ることも理解できた。歴史を見る目線の位置で後世に伝わる史実は異なるのである。
国や部族により何人と括ること自体の愚かさを感じたのである。

歴史の中で語られてこなかったこと―おんな・子供・老人からの「日本史」 (新書y (050))
歴史の中で語られてこなかったこと―おんな・子供・老人からの「日本史」
歴史の中で語られてこなかったこと―おんな・子供・老人からの「日本史」