図書館本
沖浦さんの本は以前サンカ関連の本を読み漁っている時に、最も中立的かつ学術的に書かれていて興味を覚えた。宮本常一が民俗学としてしなくてはいけないがやられていない分野が三つあると指摘していたと思う。女性史、部落史そして芸能史である。歴史には支配者側の作り出した正史と民衆側の歴史がある。日本文化とは何か、何処から来たのか、誰が作り出し現代に繋げているのか。そこに日本古来と言う文脈が実は大陸との係わりに大きく依存している事が分かってきた。不勉強な小生にとって本書は実に多くの事を教えてくれた。
天皇家も百済に通じるとの事。2001年12月、現天皇の誕生日の記者会見での発言「桓武天皇の生母が百済の武寧王の子孫であると「続日本記」に記されていることに、韓国とのゆかりを感じています」という趣旨の発言だった。
渡来人との同化の道で日本という国家が成立してきたと考える根拠がいくつも提出されているし、すでに歴史認識となっているのだろう。
播磨国風土記、アメノヒボコ伝説、製塩、製鉄(蹈鞴)、陰陽師、巫医(ふい、やぶ医者の語源)、新撰姓氏録、渡来人としての秦氏、修験などの視点から論が進む。
また穢れという概念による差別問題が未だ残る現実を、歴史をしっかり捉える事により無くすことが可能であることを感じざるを得ない。
網野善彦や中沢新一と同じ故郷山梨育ちの自分としては身近にその様な問題がないので実にこの被差別の問題を奇異に感じるし残念だと思う。正しい歴史認識がやがて根本解決することを願って止まない。職業に貴賎なしなのであるから。
日本文化を考える時、「ひとつの日本」ではなく、「いくつもの日本」としてその文化を捉える事が必要ではと指摘する。まったくその通りなのだと思う。
渡来の民と日本文化―歴史の古層から現代を見る
沖浦さんの本は以前サンカ関連の本を読み漁っている時に、最も中立的かつ学術的に書かれていて興味を覚えた。宮本常一が民俗学としてしなくてはいけないがやられていない分野が三つあると指摘していたと思う。女性史、部落史そして芸能史である。歴史には支配者側の作り出した正史と民衆側の歴史がある。日本文化とは何か、何処から来たのか、誰が作り出し現代に繋げているのか。そこに日本古来と言う文脈が実は大陸との係わりに大きく依存している事が分かってきた。不勉強な小生にとって本書は実に多くの事を教えてくれた。
天皇家も百済に通じるとの事。2001年12月、現天皇の誕生日の記者会見での発言「桓武天皇の生母が百済の武寧王の子孫であると「続日本記」に記されていることに、韓国とのゆかりを感じています」という趣旨の発言だった。
渡来人との同化の道で日本という国家が成立してきたと考える根拠がいくつも提出されているし、すでに歴史認識となっているのだろう。
播磨国風土記、アメノヒボコ伝説、製塩、製鉄(蹈鞴)、陰陽師、巫医(ふい、やぶ医者の語源)、新撰姓氏録、渡来人としての秦氏、修験などの視点から論が進む。
また穢れという概念による差別問題が未だ残る現実を、歴史をしっかり捉える事により無くすことが可能であることを感じざるを得ない。
網野善彦や中沢新一と同じ故郷山梨育ちの自分としては身近にその様な問題がないので実にこの被差別の問題を奇異に感じるし残念だと思う。正しい歴史認識がやがて根本解決することを願って止まない。職業に貴賎なしなのであるから。
日本文化を考える時、「ひとつの日本」ではなく、「いくつもの日本」としてその文化を捉える事が必要ではと指摘する。まったくその通りなのだと思う。
渡来の民と日本文化―歴史の古層から現代を見る