図書館本
JSさんにご紹介頂きました。感謝。

さて、本書は週刊文春に連載された筆者の記事を時系列的にまとめ、ご自身が書かれているように「バカの壁」的編集作業により作り上げた1冊の時代社会学。
作者は1958年生まれ(小生59年)であるからほぼ同じ時代を生きて来たわけであるが、回想録的な作者の若者時代とはかなり違う生き方をしてきたようで同感できる部分とそうで無い部分が分かれるのはしょうがないだろう。
しかし、時代がまさに日本的資本主義のゴールを既に迎えているにも係らず、だれも試合が終わった事を宣言しない現在と言う捉え方には激しく同意する。また、若者に「逃げろ」とアドバイスする。そして文化にかかわれと。すなわち手に職をであると。正しいと思う。
クリスマスは彼女とシティーホテルにしけ込み、大晦日はTDLで年越し、そんな軽薄な文化を知らず知らずに植えつけられ、ただただ消費者としての役割を演じて来た若者、特に男性。バブル終焉後も同じような世相が続いている。若者はカモになってしまった。
世相を示す当時の雑誌やテレビ番組、視聴率等のデータを処理して若者時代論を展開していく。非常に楽しく?読める。若干、作者の思い入れが強い部分のデータ解釈には?マークも付くし、話がほぼ都会限定なので違和感がないでもない。しかし、このような資料収集とデータ処理から見えてくる世相は大きな間違いはないのであろう。
多くの現代を生きる若者にとっては既に古き良き時代の童話なのかもしれない。そして、逃げる用意を早急にする必要があろう。
だって、この本がが出版された時はまだ年金問題は登場してないですから。爺婆の命は今や若者が払うだろう年金が原資ですから。

画像は年代を象徴する事例だそうです。

若者殺しの時代 (講談社現代新書)
若者殺し