図書館本

小林さんの漫画は殆ど読んでないのだが、活字体には興味を覚える。
今回の本を一言で表わすなら日本人の持っていた「死の美学」あるいは「死の哲学」であろう。
武道が実は相手を殺すだけの「道」でなく、自分の「死」をも含有するモノでありそこから武士道が導きだされて来たと感じる。西洋における騎士道やノブレスオブリージュの考えにも相似性があるのかもしれないが、そこまで小生の教養が無いのが痛い。
自分の様な日本の歴史の流れにも疎い人間は、まさに自ら歴史を学ばなければと中年過ぎて思うのである。
天皇制、靖国、明治維新、尊王攘夷という言葉は知っていてもその言葉から導き出される歴史と社会を見聞きするだけでなく、自ら調べ咀嚼せねばと思う。小林さんも指摘するように、直ぐに右だの左だのと判断する現在社会の危険性は多くの人が感じるところだろう。メディア垂れ流しの情報を鵜呑みにしてのナショナリズム形成の怖さを感じるわけである。小林さん自らが小林信者へ「自ら考える事」を指摘している点も好感が持てる。

武士ズム~小林よしのりVS堀辺正史~