図書館本

集英社のPR誌「青春と読書」への24回にわたる連載の加筆、修正した茂木さんのエッセイと捉えるべきかな。特に本書のタイトルから想定される欲望という文脈だけで語られてはいない。
茂木さんの「知」のポケットの多さと、そのポケットの大きさには何時も驚かされるが、今回は連載を単にまとめたために、文章の連続性は無いので小市民的には理解がし難い。
欲望と言う生物一般の性状は果たして何処からくるのか?誰もが脳と言う物質に起因すると考えるであろうし、その神秘を科学的に知りたいと思う。しかしあまりにも多くの障壁がそこには立ちはだかっているように見える。ここに心脳問題の難しさがあるのだろう。はたしてドーパミンだけで脳の報酬系を絡め取って良いのかどうか。素人には分からない事だらけである。以前、茂木さんが書かれた「感動する脳」ほどの違和感はないのだが、何が茂木さんを最近の矢継ぎ早な書籍出版に駆り立てるのだろうか?
そこに「欲望する脳」の本質があるように思えてならない。

欲望する脳 (集英社新書 418G) (集英社新書 418G)