図書館本

岡田氏の最近の恐怖心を煽る著作と比べると科学的証拠に基づく記述ではあるように思う。岡田氏は何の研究が専門なのかPubMedでサーチしてみたがインフルエンザでは引っかからないようだ。上司である田代氏は確かに多くの英文論文がありメディア等にもWHOの会議の場面等で露出している。
国研の研究者が沢山の著作を残す事に異議を唱えることはしないが、ご自身の研究成果に基づいているのか?あるいは現状分析を網羅的に語っているのか幾つかが疑問がある。特に田代氏はワクチン関連の論文にも名前を幾つか連ねているようだが、本書の中では、将来有望と思われるご自身が所属する研究所から発表された経鼻粘膜ワクチンの有効性にはなんら言及していない(御自身も連名で著者)。なにか理由があるのだろうか?多くの国民は単なる怖さだけを読み取るのでなく、少しでも科学研究の成果から明るい未来を期待したいのではないか。
説得力を持たせるためには多くの参照文献を提示され、そこから考察される事を過不足無く羅列することが科学者の著作には求められるのではないだろうか。

新型インフルエンザH5N1 (岩波科学ライブラリー 139)