「本が好き」よりの献本
脳科学を「見る」と言う切り口で阪大教授の藤田さんが綴る。
著者が前書きで説明している通り、一般的に読みやすい章とかなり専門的で最先端な専門用語まで出てくる章が分かれています。
物質である脳が心を作り出すという「心脳問題」にも茂木健一郎さん同様、クオリアなどの概念を使って説明しようとしていますが、やはりご自身も心脳問題の難問は解けないのではというお考えのように思います。
まず、錯視現象という、網膜に映っている画像と脳で認識する画像の違いを実際の錯視図形を何枚も使い説明してくれます。そして脳科学ワールドに引き込まれていく。世界中の脳科学者がおそらく解き明かしたい謎だらけの分野について、脳に電極を挿したり、fMRIと言った最新鋭の機材を使ったりして解析するわけですが、さすがに一般人には咀嚼できない部分も多いように思います。
自分にとっては7章が非常に印象的でした。そして藤田さんの研究に対する真摯な態度が感じられます。多くの脳科学者は哲学や禅の分野にも興味があるとは想像はしてましたが、盛永宗興師の話がこの本の良さを輝かせています。ネタばれはよくないので詳しくは書きませんが、石仏は物質ですが、皆さん祈りますよね。
「見る」とはどういうことか
書評/サイエンス
脳科学を「見る」と言う切り口で阪大教授の藤田さんが綴る。
著者が前書きで説明している通り、一般的に読みやすい章とかなり専門的で最先端な専門用語まで出てくる章が分かれています。
物質である脳が心を作り出すという「心脳問題」にも茂木健一郎さん同様、クオリアなどの概念を使って説明しようとしていますが、やはりご自身も心脳問題の難問は解けないのではというお考えのように思います。
まず、錯視現象という、網膜に映っている画像と脳で認識する画像の違いを実際の錯視図形を何枚も使い説明してくれます。そして脳科学ワールドに引き込まれていく。世界中の脳科学者がおそらく解き明かしたい謎だらけの分野について、脳に電極を挿したり、fMRIと言った最新鋭の機材を使ったりして解析するわけですが、さすがに一般人には咀嚼できない部分も多いように思います。
自分にとっては7章が非常に印象的でした。そして藤田さんの研究に対する真摯な態度が感じられます。多くの脳科学者は哲学や禅の分野にも興味があるとは想像はしてましたが、盛永宗興師の話がこの本の良さを輝かせています。ネタばれはよくないので詳しくは書きませんが、石仏は物質ですが、皆さん祈りますよね。
「見る」とはどういうことか
- 藤田 一郎
- 化学同人
- 1680円
書評/サイエンス