知人から借りた本

著者は厚労省管轄の研究所の現役研究者だそうだ。
エボラウイルスを題材にした「ホットゾーン」あたりを真似しているのだろう。あくまでも小説として読まれる事をお勧めする。
研究者の役割は、予想屋でも風説の流布でもないはずである。本書では実在の研究所と共に架空の人物を登場させてストーリーが展開する。そして新型インフルエンザによるカタストロフが起こるシミュレーションなるものを提示したいようだ。
もちろん新規感染症に対する準備は地球規模で必要であることは言うまでもなく、すでに多くの研究者がその対策に従事している。
結局のところ、この筆者は行政対応が悪い事だけを指摘したいのか?そのために最悪のシナリオを作り上げてご自身の研究活動を有利に進めたいのかと思ってしまいます。これは筆者が昨年出した同様な本「パンデミックフルー 新型インフルエンザ Xデー ハンドブック」でも同じ主張である。210万人の日本人が本感染症で死ぬらしい。

ちなみに本書では、新型インフルエンザに対する最新の研究内容は出てこないようです。少なくとも東大医科学研究所にはこの分野の世界的権威がいるわけですから、その方のご意見あたりも入れるのが筋だと思います。
そしてしっかりしたサイエンスライターに新型インフルエンザに関して一般向けに書いてもらいたいと思います。日本にも青山聖子さんや竹内薫という素晴らしいライターの方々がいるのですから。
恐怖をあおるだけの数字の一人歩きは個人にも社会にも何の役にも立たないと思います。

H5N1―強毒性新型インフルエンザウイルス日本上陸のシナリオ