図書館本

川辺川ダムを題材にした「国が川を壊す理由」を書かれた福岡さんが本であることは知っていたが中々読む機会がなかった。もっと早く読むべきだったと痛感している。新聞記者として取材して新聞に連載した内容をまとめている。
第一部 ペットの行方 第二部 肉をつくる 第三部 遺書を読む、で構成されている。
捨てられた犬猫を処分せざる得ない現場、屠場での牛や豚、鶏を食肉にする現場そして自ら死を選ばざるを得ない人々。そしてそれら現場に居る人々の苦悩や差別をジャーナリストとして極力中立な立場で描き出している。
可愛いだけでペットを飼い、大きくなったら捨てる人、スーパーのパック入り肉と屠場とのギャップ、死なずに生きれるはずなのに謝罪だらけの遺書を残して死んで行く多くの人々、そこには死を社会から隠蔽してきた日本があると著者は指摘する。養老先生が言う「都市化であり脳化」である、あまりにも普段の生活から死を隔離されせてしまった事が原因である。捨てられたペットを処分する人々や屠場で家畜を処理する人々は毎日死と向き合っている。しかしその他の人々は。。。。。。
生きるために直接自分で動物の命を絶っていた時代、人間はもっと死の事を理解していた。そして命の連鎖を学んでいたと言う。だから「いただきます」なのである。この点はCWニコルさんも同じ事を著書の中に書かれている。動物によって生かされている人間であることを認識しなければいけない。また自殺者は中年以降が実は多く、社会的ストレス、老いることによる疎外感などだと言う。経済的責任感を感じて生命保険を担保にして死んで行く多くの人、そんな社会は変えなければいけない。
隠された風景―死の現場を歩く