b3db7bac.jpg魔魚狩り 取り合えず書きなぐりバージョンなので誤字脱字はご容赦

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
水口 憲哉
1941年生。東京海洋大学沿岸域利用論研究室教授。夷隅東部漁協組合員。原発建設や開発から漁民を守る“ボランティアの用心棒”として全国を行脚し続けている。千葉県夷隅郡岬町在住

1987年からのフライの雑誌に書かれた著作とその他の雑誌および書下ろしによる著作
ブラックバス(以後BBと略)の擁護派なのかな?
この書だけで判断してはいけないと思い著者の約30年前の著作である「釣りと魚の科学」昭和49年 産報レジャー選書 880円も読んでみた。
まずは、釣りと魚の科学に関して
著者が水産大学の助手の時に雑誌フィッシングに連載していた内容との事、内容的には文献紹介的な内容で、特に著者の研究報告的な事はないようである。かなりの分野に関して勉強したように感じる内容となっていて、科学で魚類に関して分かっている事、いない事をはっきり書いてある。さすがに30年前の書であるので、イワナが一度の産卵で死にいたる、ヤマメは数回産卵する等の間違いも書かれているがこれは当時としては仕方の無い事であろう。また著者は魚類の資源管理を本職としているようで、いかにその分野を釣りと言う分野に応用して、よりよい釣り環境を作ろうと努力している姿勢は評価に値する。また長柄川河口堰や原発問題にも触れて今後の環境破壊を危惧している。しかしながら、大部分は文献紹介で魚の行動や生態の紹介となっている。またBBに関しても外国の文献を引き、その大食性を心配して、安易な放流は小魚を食いつくす可能性があることを指摘している。(p219) さらに釣り場の多様性を確保し放流を計画的に科学的に行う事を提案している(p263)。これは今で言うゾーニングであり、禁漁、C&R区、積極的放流区等に分けて釣り場を管理すると言う先駆的な提言でなないかと思う。

さて、魔魚狩りである。
この著者がいきなり、本の帯で、本文見出しとして、以下が書かれている。
BBが生態系を変えるのではない。人間が生態系を変えたからBBが繁殖するだけだ。
BB排斥論者に、純血主義、国粋主義、民族主義などの片鱗が見られ、背筋が寒くなる。
琵琶湖の若い漁民とバス釣りの少年達は、研究者、行政、マスコミ等によって惑わされ、混乱している。
レッドデータブックからサツキマスを外した環境省と御用学者のあきれた小細工。

本を売るためにはここまで書かないといけないの?って感じですね。

書の中で気になった点をいくつか。
すでに、人為的に放流等がほとんど地域で行われているので(琵琶湖や芦ノ湖)、放流した記録さえ公開保存すれば、それほど目くじらを立てる必要が無い(p125)
他の研究者の実験に対して、お馬鹿な実験が評価されてか、環境省の委員会に魚類関係者として。。。(p161)
In press 2003年の論文を検討できないが。。。(p187 2004年の雑誌記事から)
環境を維持さえすればBB問題は起こらないし、在来魚も減らない。(p191)
BB問題は一応、環境問題ということになっている。が、私は単に淡水魚の一種をどう扱うかという水産や釣りの世界の問題だと思う。(p199)
前半部分は特にBB問題等には触れておらず、比較的前に書かれた連載を再収録といった感じ。

個人的に思うことは、この著者が本当にサイエンスをやって来たのかと言う素朴な疑問。
研究者は常に論文やデータに疑いを持ち、真実を追究するものだと信じている自分としては
BB問題の本質は何か?問題点は何か、解決策は何かと理路整然と説明してもらいたい。
もちろん、分からない事は分からないので結構だが、感情的、思い込み的な記載が多いのが
非常に違和感を覚える。
さらに、秋月岩魚氏、足立倫行氏、淡水魚保護協会機関紙等にも嫌悪感をお持ちのようです。
もっと冷静にかつ客観的に書かれれば、かなりの部分は共感を持たれると思うのですが、残念である。

生物の多様性問題、外来種の問題はご存知のように、BBだけでは無く、植物や哺乳動物多岐にわたり、それらは少なくとも人間を取り巻く環境問題の一つと言う位置づけが必要どと思うのですが、いかがでしょうか?