リニアの行方:流量減対策 理解進むか 大井川周辺 掛川市で住民説明会 /静岡 | 毎日新聞
JR東海は29日、リニア中央新幹線静岡工区の早期着工に向け、掛川市で住民説明会を開いた。多くの住民が工事に伴う大井川の流量減少を懸念しており、JRが講じる環境保全策への理解が進むかどうかが焦点。6月にかけ、掛川市を含めた大井川周辺の8市2町で説明会を実施する。
県の有識者専門部会が3月までにJRの環境保全策を全て了承した後、周辺自治体で開くのは初めて。鈴木康友知事は着工容認の条件に住民の理解を挙げている。
この日は会場の文化会館でパネルなどを展示し、水資源や生態系、工事で発生する土などに関する対策を紹介。住民は会場内を回り、個別に社員から説明を受けた。JRは流量減少への対応について、上流ダムの取水を抑制し県外流出分の湧水(ゆうすい)と同量を確保する取り組みなどを示している。
掛川市の男性(47)は「水資源が一番の問題で懸念は解消されないが、直接詳しい説明を聞ける機会があったのは良かった」と話した。市内の別の男性(49)は「何か起きた時に想定通りになるのか。実際に工事をやってみないと分からない」と語った。
JRは説明会を26〜27日に静岡市で行っており、今後、藤枝市や川根本町などでも6月20日までに順次、開催する。
静岡工区は山梨、静岡、長野の3県にまたがる南アルプストンネルの一部。大井川が流れ、静岡市葵区の北部を約8・9キロ横切る。
茶農家「不安消えない」
JR東海はリニア静岡工区着工に向け、大井川周辺8市2町の住民への説明会を始めた。大井川の水を生活・農業用水などとして使っている地域。最初の開催となった掛川市で茶葉を栽培する杉山裕朗さん(60)は、貴重な水源になっていると強調し、流量が減少しないか「不安が消えることはない」と吐露する。
背景には四半世紀前の出来事がある。中日本高速道路などによると、掛川市の一部地域で2000年ごろ、新東名高速道路粟ケ岳トンネルの掘削工事の影響で、井戸水などが枯れたという。「当時『絶対に水はなくならない』と言われていたが、今でも断水したままの所もある」とする杉山さん。「実際に掘ってみないと、どうなるか分からない」と心配を募らせる。
当時、対応に当たった同市の関係者は、トンネル工事と水の供給源が離れていたと説明した上で「因果関係の立証は難しかったが、工事のタイミングと井戸水の渇水時期が同じだったため、工事以外の要因がない」と考え、事業者に対応を求めたという。関係者は「地下水の状況を掘削前後に正確に把握するのは難しいのでは」と指摘する。
これまで県はリニアのトンネル掘削工事により、地下に蓄えられている水がトンネル内に湧き出て河川の水量減少につながると懸念を示していた。
環境保全策を議論した県の有識者専門部会で、JRは上流ダムの取水を抑制することで県外への流出分の湧水(ゆうすい)と同量を確保したり、トンネル内の湧水をポンプや導水路を使い大井川に流したりする取り組みを提示し、了承された。
一方、岐阜県瑞浪市大湫町ではリニアのトンネル掘削中に湧水が発生し、付近の井戸の水位低下が確認されたことが2024年に明らかに。杉山さんは大井川の水量は降水量で左右される面もあるとしながらも、水が減ったり枯れたりする事態にならないよう「JRには対策をしっかりしてほしい」と語気を強めた。














