「気候変動は人類最大の脅威」パタゴニア創業者が自社株3900億円を寄付した理由<ロングインタビュー>:東京新聞 TOKYO Web
日本では長崎の石木ダム計画に反対の意思を示しているパタゴニア日本でもあります。
「「地球が唯一の株主」。シュイナードさんは資産譲渡の際、同社の新たな形をこう表現した。議決権のない株式(全体の98%)を環境NPOに移し、残る2%の株は新たに設立した組織「パタゴニア・パーパス・トラスト」に信託した。議決権はトラストがすべて握り、パタゴニアが創業者シュイナードさんの意向を反映させ、環境重視の理念を守るように監視する。NPOにはパタゴニアが配当金として毎年1億ドル(約130億円)を支払い、環境保護に充てられる。
パタゴニアは、環境負荷の少ない素材を使った製品を開発したり、約40年前から社内に託児所を設けたりと、シュイナードさんの理想を追求した経営を続けてきた。2018年には会社の目標を「地球を救うためにビジネスを営む」に変更。大規模セールシーズンに自社の製品を「買わないで」という新聞広告を出し、大量消費社会に疑問を投げかけたこともある。 」
「—普段はどのような暮らしを。
中古のスバル・アウトバックでほとんど毎日出社して、製品開発などに携わっている。釣りにはよく行く。毎年冬にはアルゼンチンに2週間ほど滞在して釣りをし、新製品をテストしている。スバルはかなり年季が入っているが、電気自動車(EV)みたいな新しい車を買うことで環境に負荷をかけたくない。これが最後の車になると思う。妻は初代のトヨタ・プリウスに乗っている。
—パソコンを使わず、携帯電話もほとんど持たないと聞いた。
携帯電話を持ってはいるものの、あまり持ち歩いていない。電話以外の機能も知らない。パソコンは使わない。私は(クライミング道具を作る)鍛冶屋だったので、根っからのアナログ人間。デジタルの世界に捕らわれたくない。Eメールに時間を費やすなんてばかげている。
—日本との関わりも深い。
実は、私のヒーローは日本人。友人である登山家、坂下直枝の父親だ。直枝から聞いた話だが、青森県に住んでいた彼の父親は退職後、岩場で魚を釣り、山で山菜を採り、最低限の物(米、みそ、しょうゆなど)を買って1カ月200ドル(約2万6000円)ほどで暮らしていたそうだ。幸せな人だったという。「最も少ないおもちゃを持って死んだ者が勝ち」というのが好きな言葉の一つだが、彼こそ私の理想の人生だ。
—同社株の寄付を全て終えた心境は。
長い手続きが片付いて、ほっとしている。生活は何も変わらない。以前と違うのは、私が会社を所有していないことだけだ。パタゴニアには200年続く会社になってほしい。そのためには、他の会社と同じであってはいけない。 」