若宮啓文・元朝日新聞主筆が死去:朝日新聞デジタル
残念です。
読書メモ再掲
読書
ルポ 現代の被差別部落 (文庫) 若宮啓文 朝日新聞 1988
現在は朝日新聞の論説主幹をしている若宮さんのまさに駆け出しの頃および単行本出版の15年後の再取材による文庫化
単行本は昭和49年(朝日新聞長野版での連載をもとに)
若宮さん自身も大学を卒業するまで同和教育と言うものを知らなかった書かれている。(もちろん東京にも被差別地域が存在するのだが)
それが赴任先で驚くような差別問題に遭遇する。
地域や苗字で被差別部落と分かり、教育、結婚や就職での差別から起こる不幸、学校の教員の心の中にまで潜む差別意識。
それらを極力実名と地図まで示して書き綴っている。
劣悪な労働現場には部落に住み込んでそから同行し取材している。
同和教育の導入と普及、同和対策の光と影、読んでいて胸が締め付けられる思う箇所も多々あった。
無知であることがさらなる差別を生むと指摘している。
メディアでタブー視されている問題に若き日の若宮氏が上司や被差別部落の人々のバックアップで本書を書き上げた姿が目に浮かぶようです。
人が人を差別する愚かさ、差別される側の思いや痛みを理解できる人を育てる教育や社会の必要性を痛感した一冊である。
新聞記者 若宮啓文 ちくまプリマー新書 2013
図書館本
ルポ 現代の被差別部落 (朝日文庫)を過去に読んでいたので本書も読んでみました。
差別問題に関しては2章にその後の事も書かれていて興味深い。
全体としてはかなり自画自賛的な自分史だろうか。
ただ、やはり新聞記者という職業はスクープ(特ダネ)に執着し、政治家に密着して情報を取るというスタイルから卒業出来ないようである。そして記者クラブという特権。
政治も経済も重要な事は認めるが、権力の監視機構としてのメディアというよりは権力に迎合しながら歴史を歩んで来たようにも思える。
だから「オフレコ」という書かない権利も行使するのだろう。
備忘録メモ
金丸信さんは「環境アセスメント」を「環境セメント」と言い間違えた。
中馬清福氏(現信濃毎日主筆かな?)の話も出てくる
読売新聞 渡辺恒雄会長との対談(月刊論座 2006年2月号)で渡辺さんは靖国神社の遊就館を見て仰天し、厳しい靖国批判に転じた。「軍国主義をあおり、礼賛する展示品を並べた博物館を、靖国神社が経営しているわけだ。そんなところに首相が参拝するのはおかしい」 A級戦犯の合祀についても「靖国神社に祀られている多くの人は被害者です。やはり殺した人間と被害者を区別しなければいかん」と痛烈だった。