「山女魚里の釣り」と言う芦沢一洋さんの本がある。
たまに読み返したくなる本の一冊である。
本の表紙より
私の釣りは漁ではない。かといって、スポーツでもない。数字を示す必要など、どこにもないないではないか。競うために釣りをしているわけではない。記録には何の意味もないのだ。私が考えなければならないのは、それが心に何かを残し、何かを埋め込んでくれたかどうかだけだ。生きている魚、山女魚にだけは数字は当てはめたくない。私にとっては、どんな山女魚も価値がある。私の貧しい競争心で山女魚を傷つけてはならない。対手は、森と川と山女魚、あまりに雄大だ。私は胸を借り、失敗しても、また胸を借りることが許されている。それが山女魚釣りというものだ。
キャスティング:投射と表記する事が出来る人である。
鹿毛石蚕毛鉤はエルクヘアーカディスである。
何度かに渡り、この本を紹介したいと思うほどの素晴らしい本である。釣りの技術や道具にこだわるフライフィッシャーが多い、C&Rすることのみを主張する輩もいる。魚釣りが出来ることの前提にある自然について芦沢さんはとくとくと語っているように思う。長生きして欲しかった。
そして山梨にもこんな釣り人が居たことを後世に伝えたい。そして芦沢さんの知識、教養を皆に伝えて欲しかった。