第113回国会 質問の一覧
宗教法人「創価学会」の運営等に関する質問主意書
昭和63年の 宗教法人「創価学会」の運営等に関する質問主意書
1 宗教上の寄付で集めた資金は、税法上の優遇措置を受けているが、その資金で建設された会館等の施設を学会が支援する特定の候補者の選挙活動に利用させることは、実質的に国から特権を受けた結果となり、憲法第二十条第一項後段の規定に違反することとなるのではないか。
2 学会の日常活動は、宗教活動というより常に選挙を念頭においた政治活動が主体であり、これは前1の点と併せて考慮すれば、「法令に違反し著しく公共の福祉を害する行為」であり、「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為」であるので、宗教法人法第八十一条第一項に該当するのではないか。
三 学会の寄付金集めについて
学会の寄付金集めは、近年過激なものとなつている。「信心の歓喜と感謝の思いをこめた財務」、「財務は御供養の精神に通じる」、「先生(名誉会長)の大きな世界広布構想のもとに世界的規模で広がりつつある広宣流布を財務がどれだけ支えているのか認識を深めよう」等々と煽り、毎年巨額の寄付金を集めているが、これらはいわば寄付の強要ではないかとの声があがつている。こうした寄付金集めの実態は、寄付をめぐつて夫婦の意見が対立し、遂に別居や離婚という家庭崩壊現象が起こつたり、また生活保護世帯や老齢者、身体障害者等の会員の中には生活苦に陥り、あるいは公営住宅でささやかな生活をしていた人が夜逃げしたなどという例もある。
これらの寄付金は「財務」、「広布基金」、「特別財務」などの名称で集められているが、以上のような学会の寄付金集めとは別に、名誉会長の就任記念日や誕生日、海外出張等に際し、餞別やお祝い、その他の名目で公明党の国会議員や地方議員、学会本部職員等からその都度、多額の金銭を集めている事実もある。
1 学会の収支状況については、学会員でさえ周知されていない状況にあるので、最近五年間における収支状況及び課税、非課税別金額を調査の上明示されたい。
2 学会による過激で過大な寄付金集めは、前述のような反社会的な事例を発生させているが、こうした寄付金集めは公序良俗に反し、宗教団体の目的を著しく逸脱した行為であり、宗教法人法第八十一条第一項第二号に該当するものと思うがどうか。
3 名誉会長に対する多額の餞別、お祝い金は贈与に当ると思うが、これら贈与金にかかる最近五年間の所得申告及び課税の有無の明示を求める。
四 学会による過大なる不動産取得とその不当なる運用について
宗教法人が、その目的を達成するため、礼拝の施設その他の財産を所有し、これを維持運用することは、宗教法人法及び税法によつて特別保護が加えられている。学会が近年、巨額の寄付金を会員から集めていることは前述のとおりであるが、学会は、全国の温泉地、保養地、観光地さらには国立公園内等に広大な土地を所有し、会館、研修所など各種の施設を建設し、所有している。これらの施設の中には、ホテルやレジャー施設を買収し、従来の遊興や保養目的と同様の使用に供しているとみられるものもある。
ところで全国には、会館、研修所などの施設が数百箇所あるが、その主要な施設内には例外なく「池田(名誉会長)専用施設」(以下「専用施設」という。)が設けられている。東京都信濃町の聖教新聞社の最上階にある専用施設を例にあげると、四〜五年前に、実に九億円を投じて改装されたと報じられた。地方の会館内にある専用施設も豪華そのものとの噂が高い。また、専用施設は、名誉会長がその役員でもない「学校法人創価大学」や「学校法人創価学園」内にも設けられている。
昨年、東伊豆の温泉地に設けられた研修所は、高級別荘地におよそ一万坪を有するもので、門構えと建物の作り等からみて専用施設ではないかとの報道もある。
このような専用施設は、学会員はもとより学会幹部といえども容易に入室は許されず、完全に名誉会長の個人的使用に供されているものである。
さらに、最近の報道によれば、創価学会インターナショナル(SGI)関係の不動産取得として、学会傘下にある英国の「仏教団」が、ロンドン郊外の古城を六百万ポンドで買収し、改修費二百万ポンドを含む買収資金(約十八億円)は学会が全額貸与したと伝えられ、国民の強い関心を集めたが、こうした学会の不動産取得とその運用に対する国民の疑惑を解明する必要がある。
1 学会が保有する不動産については、その種類、取得年度及びその価格、使用目的及び実際の使用状況、固定資産税、不動産取得税及び特別土地保有税の過去五年間の課税状況について、調査の上明示を求める。
2 施設の名称の如何を問わず、保養、遊興目的と同様の使用に供される施設及び専用施設は、権利の濫用とみるのが社会常識であり、宗教法人法第八十一条に規定する逸脱行為に該当すると思うがどうか。
3 専用施設の維持運営経費は名誉会長への贈与であり、贈与税を課税さるべきものと思うがどうか。
五 学会と外郭関連会社との関係について
学会は、多数の外郭関連営利会社を擁しており、これらの会社の役員、株主は学会の幹部で占められ、従業員もその殆んどが学会員である。学会や学会員は、これらの営利法人から物品やサービスを購入し、まさに学会とこれら営利法人は一心同体的経営が行われている。
従つて、学会の行う収益事業とこれら関連営利会社との決算は、連結決算方式によつて処理さるべきものと思うがどうか。
六 学会の支援する学校法人の運営について
学会は、「学校法人創価大学」及び「学校法人創価学園」を設置し、年々多額の支援を行つている。創価大学は、一般の総合大学として認可を受け、教員も学生も学会の会員たると否とを問わず公平に受け入れられる。ところが、入試等において学会員と非学会員との差別が存在し、トラブルが絶えないのが実情であり、また、学生に対しても自治会を通じて、名誉会長への忠誠の強要が行われているといわれる。この忠誠強要は創価学園においても同様に行われ、トラブルが絶えないといわれる。
学問の自由は、憲法第二十三条によつて保障されるところであるが、これは「大学の自治」即ち「教授会の自治」と「学長、学部長の教授による選出権」が保障されてはじめて具現できるものである。
昨年明治大学内で開かれた私大職員研修会の席上、創価大学法学部教授(教員組合委員長)が「創価大は学会の一下部機関にすぎない扱いをうけている。大学の自主的判断に基づいて選任さるべき学長、学部長等についても大学の自治が認められない」と述べている如く、創価大学には学問の自由が存在しない実情にあるといわれる。
また、創価大学構内や創価学園構内には豪華な専用施設があつて、大学の役員でもない名誉会長が休養などで利用していることは既に述べたが、創価大学の構内施設では、連日のように学会の諸会合が開かれ、選挙時には公明党の選挙活動の会場に供されるなど、創価大学はいまや学会のイベント会場と化したといつても過言でない状況にあるといわれる。
創価大学には私学助成金として、年間十億円前後の金額が国家から支給されている。
従つて以上述べたる如き、名誉会長による学園教育の恣意化、私物化を容認することは、特定の宗教団体に国が補助を与えることとなり、憲法第二十条第一項後段の規定に違反することとなると思うがどうか。
右質問する。
答弁