おやじのぼやき

日々おやじが思う事。。。。。

経済

農協の大罪 山下一仁 宝島新書 2009

図書館本

山下氏(1955-)が農水省での経験をもとに書かれた日本農政史からみた問題点。
柳田國男(農商務省 法学士第一号、のちの民俗学者)まで遡ります。

ざっくり書くと
すでに農協の役割は終わっているということでしょうか。
本来の農政は食料の安定供給、食料安全保障のはずであるが、根本的に矛盾した農政が行われていると
指摘
農協による農協ための支配構造
この辺は、神門善久さん(1962−明治学院大学経済学部教授)の主張と同じように思う。

そしていかに真剣に農業を産業としようとする動きが止められてきたかということでしょう。
本書が出版された時期はまだ減反政策が普通に行われていたと思われますが、現在(2014年)は筆者が主張するように減反政策が大きく変わろうとしています。

備忘録メモ
農協ー自民党ー農水省 の農水トライアングル
米価の高価格維持により農協は高い肥料、農機具、農薬等の手数料 農民のためより農協維持利権
酪農は戸数が40万戸から2万戸に減少したが生産は増加
減反政策 40年間で7兆円 過剰米処理に3兆円以上投入
宅地やパチンコ店に化ける農地
農協の金融部門分離への抵抗 (営農・経済事業、信用事業、共済事業、福祉事業)
食管のおかげで農林中金も発展
肥料の高価格維持(輸出向けの3倍) 農協の販売マージン、肥料製造資本への奉仕 肥料産業への貸付利益
補助金による農家の囲い込み メインは兼業農家 (週末農業で農薬、肥料を使う)
農産物販売における農協の中抜き(手数料20%程度)
有機農業農家への差別
農地転用売却益の運用90年7兆円 現在(09年)2兆円
農協組合員、准組合員のうち農業者は3分の1 農協=不動産協同組合化
米が自由化されると、日本文化、生態系が崩壊するとした農協のウルグアイ・ライウンドでのキャンペーンの嘘
エネルギー浪費型の農業(農薬と化学肥料の多投)に固執する農協 農学者 安達生垣氏の指摘
農協によるマスコミ、文化人、俳優の囲い込み戦略
農協批判できない学者(学生の就職先としての農協の存在)
族議員の減少、しかし逆に少数で政治力が高まる(権力集中)
農政官僚の停滞(族議員や農協に不利になる政策提案が出来ない)
零細農家切り捨て論の嘘(本職サラリーマン兼業農家は冨農で米作主農家より収入多い)
減反を止めて主業農家に補助金の直接支払いをすれば財政的な負担は変わらず価格低下で消費者にもメリット ミニマムアクセス米の輸入も必要ない。食料自給率も上がる
考える農業者による専門農協の設立を

農協の大罪 (宝島社新書)
山下一仁
宝島社
2009-01-10





ダンビサ・モヨさんのTED 是非聞いてみてください。

Dambisa Moyo: Is China the new idol for emerging economies? | Video on TED.com


中国嫌いの人も、中国好きな人もどうぞ。リンクから講演が聴けます。良い時代になりました。

井の中の日本にならないために。
英語のテキスト表示も出来ます。

日本語訳されている彼女の本を下に紹介しておきます。
その下が原著


援助じゃアフリカは発展しない
ダンビサ・モヨ
東洋経済新報社
2010-07-30

すべての富を中国が独り占めする
ダンビサ・モヨ
ビジネス社
2013-07-24



祝島 原発 原発マネー

原発マネーのお話 是非読んでみて。

原発マネー”を31年拒否してきた島が緊急事態に

原発と闘う小さな島の30年史

両方の映画みたいんですけど、まだ見てません。

【祝島映画情報】
原発反対を貫く祝島の人々と、スウェーデンで持続可能社会を構築する人々を描いた作品『ミツバチの羽音と地球の回転』(鎌仲ひとみ監督)

ミツバチの羽音と地球の回転 [DVD]
ミツバチの羽音と地球の回転 [DVD] [DVD]



祝(ほうり)の島  原発はいらない!命の海に生きる人々 [DVD]
祝(ほうり)の島 原発はいらない!命の海に生きる人々 [DVD] [DVD]

世界一大きな問題のシンプルな解き方 ポール・ポラック 東方雅美訳 英治出版 2011年6月

世界一大きな問題のシンプルな解き方 ポール・ポラック 東方雅美訳 英治出版 2011年6月

原題:Out of Poverty, what works when traditional approaches fall

図書館本

これまでのODAをはじめとする援助方法を見直す良い書だと思いました。
そして、もっとも重要なのは現場の人々の話を多く聞き、現場での実現性を考えること。
貧しい人々は援助を受ける人という扱いではなく、サービスを購入する顧客と考える。
国連ミレニアム開発目標(MDGs)の話もジェフリー・サックス(推進者)とウイリアム・イースタリー(懐疑派)の名前を出して問題点を指摘しています。もちろんMDGsを全面否定している訳ではありませんが、貧困対策における方法論に異論を唱えています。
足踏みポンプとドリップ灌漑(重力とホース利用の給水装置)による農作物増収が絶対貧困(一日1ドル以下で生活する人々)問題を解決する、それも援助ではなくマイクロクレジットや農業従事者自らの投資(数十ドルから200ドル程度)で。
3つの誤解; 1.寄付で貧困から救いだせる、2.国家の経済成長が貧困をなくす、3.大企業が貧困をなくす
デザイン革命をおこす(いかに安く、いかに沢山助成金なしで売ることができるか)
新しい市場(貧困に苦しむ人々、ソニーのトランジスタラジオ、ジョブスのアップルコンピューターと同じ)
農業だけでなく、スラムでの企業も可能(なぜ人々がスラムに集まるのか?そこに人々が生活できるから。)
MDGsで援助する国、援助される側の対応者はなんらかの支援者との関係(利害)がある。
ゲイツ財団のような支援評価体制(効果実現性、その効果の大規模発展性)の重要性

本書はもちろん完璧な貧困対策ではない、また指摘されていない問題点もある(解説で日本人の方が説明している)。しかし、ザンビア人経済学者ダンビサ・モヨ女史も指摘しているようにこれまでの先進国の途上国援助は多くの無駄と失敗を繰り返してきた。
そのような文脈の中で本書で描かれる様な貧困撲滅への取り組みや、途上国における個人やグループ起業への見返りを求めない投資(kiva等)は今後の流れになるのかもしれないと思った。またconditional cash transferといわれる直接お金を渡す方法論はアメリカの貧困対策や途上国でも行われつつあるということを付記しておきたいと思います。

第1章:現実的な解を導く12のステップ
第2章:3つの誤解
第3章:すべては「もっと稼ぐこと」から
第4章:残りの90%の人たちのためのデザイン
第5章:新たな収入源を求めて
第6章:水問題を解決するイノベーション
第7章:1エーカー農家から世界が変わる
第8章:主役は貧しい人たち
第9章:スラムの可能性
第10章:貧困と地球
第11章:私たちには力がある
第12章:バハドゥ一家、ついに貧困から抜け出す

世界一大きな問題のシンプルな解き方――私が貧困解決の現場で学んだこと
世界一大きな問題のシンプルな解き方――私が貧困解決の現場で学んだこと
クチコミを見る

1ドル50円時代を生き抜く日本経済 浜矩子 朝日新聞出版 2011年1月

1ドル50円時代を生き抜く日本経済 浜矩子 朝日新聞出版 2011年1月
図書館本

感想から書くと、経済非専門家の自分が、少し世界経済が分かった様な気になる本。
円高じゃなくてドル安。
浜さんは、保護貿易主義は良くないという立場のように思えるが、実は地域通貨にも期待している。そして道州制よりは廃県置藩的(内田樹さんが主張する)な動きに期待しているようでもある。ただ、度胸と愛嬌の規範は良いけど、じゃ、企業経営者はどうしたらよいか?一般国民はどう世界経済と立ち向かう(立ち向かわない)かが個人的にはわかりにくい。ドル崩壊はエマニュエル・トッドが予想しているし、ユーロもドルも中国元も機軸通貨にはならないのかな。

いつもの備忘録的メモ
為替介入によって円高を円安方向に押し戻そうとするやり方は「ヤブ医者の処方箋」だ。
ドルはこれから価値を失っていく通貨。
日本の超低金利あるいはゼロ金利が、マネーを日本から溢れださせ、結局のところリーマンショックをもたらした。そう言っても過言でない。
成熟した債権国家(日本):流出したジャパンマネーで海外で収益をあげ、その収益で輸入。
事態はもう通貨戦争byブラジル財相
アメリカにとって日本がモノ言わぬ安定株主、中国も損益分岐点を模索中
イギリスはよせばよいのに金融立国化により若返りを追及した1990年代がある。その年寄りの冷や水がたたって、今のイギリスは経済の再生に四苦八苦。
ドルはせいぜい南北アメリカを通用範囲とするローカル通貨の位置づけで落ち着く。
中国繁栄基盤とパックスアメリカーナや日本、欧州繁栄背景との違い(資金は海外、土地、労働力は中国)
プラザ合意後の日本の失敗(1ドル360円、85年プラザ合意、250円、86年末160円、87年120円、2011年80円から75円台)これを公定歩合の引き下げ(金融大緩和という強力眠り薬)で対応し円高を脅威としてだけ反応
集権的管理から競争的分権へ
保護(貿易)は救済につながらない
去るもの(中小企業の海外進出)は追わず、来るもの(輸入、労働者)は拒まず
Think local, act globalへ
地方行政の自己展開力による横系列的地域共同体形成 行政こそが知的足腰の強さ(教育)が必要
大きすぎて潰せないから大きすぎて救えないへ
成長戦略でなく成熟戦略

目次
第1章 なぜドルはここまで安くなっているのか
第2章 ユーロはドルの受け皿になれない
第3章 なぜドルからの逃避先に円が選ばれるのか
第4章 無極化するグローバル時代の通貨関係
第5章 円高はチャンスである
第6章 協調的分権が生む新しい日本
第7章 行政は協調的分権にどう対応するか
第8章 成熟時代の政治と政策

1ドル50円時代を生き抜く日本経済
1ドル50円時代を生き抜く日本経済
クチコミを見る

競争と公平感 大竹文雄 中公新書 2010

競争と公平感 大竹文雄 中公新書 2010
図書館本

非常に読みやすく、経済音痴な自分の疑問を分かりやすく解いてくれる。
新書ではあるが、知人には絶対勧めたい一冊である。
種々の研究者のデータを用い分析する、そして物事を決め付けない態度は読んでいて安心できるし、説得力を持つ。リーマンショック以降、経済の明るい話題は無いし、最近ではEUでのギリシャ危機、円高やTPPでの関税問題。普通に世界恐慌前夜的な舞台が着々と準備されているようにも思えてならない。

いつものように備忘録メモ
国による価値観の違い。国の責任か個人の責任か?
勤勉より運やコネを重要視する日本人(フランスも同様)不況の影響もあり
任期付き正社員の必要性
ウイキノミクスの政府での必要性(情報の公開とアイデアの募集)
市場競争が結局は格差の縮小に貢献すると考えない人が多い。日本
市場競争のメリットを最大限に生かし、デメリットを小さくするような規制や再分配政策を考えるという、市場競争に対する共通の価値観をもつべき。
出生時体重と成人後の経済状態の関係
日本全体での所得不平等化は高齢化が原因である
アメリカ:努力、学歴、才能。 日本:努力、運、学歴の順の価値観、だからアメリカ人はそれほど格差を感じない?(ただし、2011年秋のウォール街でのデモは大きな格差をアメリカ人が感じている)
特定の世代の政治力が強くなることを抑制することが必要(年金問題、介護保険等)
世代別の選挙制度や子供の数による投票権の付与等も考慮に値する
正社員の既得権益にはメスを入れる必要性がある。(解雇規制の緩和)


目次
プロローグ 人生と競争
I 競争嫌いの日本人
 1 市場経済にも国の役割にも期待しない?
 2 勤勉さよりも運やコネ?
 3 男と女、競争好きはどちら?
コラム1 薬指が長いと証券トレーダーに向いている?
 4 男の非正規
 5 政策の効果を知る方法
 6 市場経済のメリットは何か?
II 公平だと感じるのはどんな時ですか?
 1 「小さく産んで大きく育てる」は間違い?
 2 脳の仕組みと経済格差
 3 20分食べるのを我慢できたらもう一個
 4 夏休みの宿題はもうすませた?
コラム2 わかっているけど、やめられない
 5 天国や地獄を信じる人が多いと経済は成長する?
 6 格差を気にする国民と気にしない国民
 7 何をもって「貧困」とするか?
 8 「モノよりお金」が不況の原因
 9 有権者が高齢化すると困ること
III 働きやすさを考える
 1 正社員と非正規社員
 2 増えた祝日の功罪
 3 長時間労働の何が問題か?
コラム3 看護師の賃金と患者の死亡率
 4 最低賃金引き上げは所得格差を縮小するか?
 5 外国人労働者受け入れは日本人労働者の賃金を引き下げるか?
 6 目立つ税金と目立たない税金
エピローグ 経済学って役に立つの?
競争とルール あとがきにかえて

競争と公平感―市場経済の本当のメリット (中公新書)
競争と公平感―市場経済の本当のメリット (中公新書)
クチコミを見る
Profile
鎌倉おやじ
趣味:イワナに遊んでもらう、菜園、読書、焚き火、ランタン

愛読人:内山節、池田晶子、養老孟司、山本素石、高桑信一、相田みつを、宮本常一、網野善彦、野田知佑、南木佳士、川上健一 佐藤優 内田樹(順不同)

夢:晴釣雨読で自給自足、在来魚保護 (最近釣りにはそれほど熱中してません、年のせいでしょうか)
Recent Comments
Archives
お薦め映画