原発60年超運転案は「安全側への改変とはいえない」 異例の反対意見で規制委が正式決定を先送り:東京新聞 TOKYO Web



原子力ムラの中にも常識人が居る。
3.11以前 故吉岡斉先生が講演の中で述べていました、審議委員会や有識者会議の中にはかならず反対学者を入れておく、一応、話を聞いた事にするわけだ。審議会委員が決定した時点で結論は決まっているんだと。そして3.11の人災としての原発震災が起こった。


以下記事

原子力規制委員会は8日の定例会合で、原発の60年超運転に向けた新たな規制制度案を正式決定するかを議論したが、石渡明委員が「安全側への改変とは言えない」と述べて反対し、決定を見送った。来週、定例会で改めて議論する。規制委の重要案件で意見が割れたのは、極めて異例だ。 (小野沢健太)
【関連記事】運転60年超の原発、世界で実例なし 設計時の耐用年数は40年 配管破れ、腐食で穴...トラブル続発
◆パブリックコメント 大半は見直しに反対
 新たな規制案は、原発の運転開始から30年後を起点に10年以内ごとに劣化状況を審査、規制基準に適合していれば運転延長を認可する。昨年12月の定例会では全員一致で了承。この日は、国民からの意見公募(パブリックコメント)の結果を受けて、最終案を議論した。
 意見公募に寄せられた2016件の大半は制度の見直しに反対する内容だったが、規制委事務局は規制案の内容を変更することなく、案を正式決定するかどうかを定例会に諮った。委員5人のうち、山中伸介委員長ら4人は案に賛成したが、石渡委員は反対を表明した。山中委員長は多数決で決定することはせず、運転期間を規定する原子炉等規制法(炉規法)の条文改正案とともに再び議論するとした。
 定例会後の記者会見で山中委員長は「(石渡委員に)誤解もあると思う。反対意見があること自体は問題とは思わない。委員の間で議論を深めたい」と話した。
 政府は昨年12月、原発の再稼働審査や司法判断などで停止した期間を運転年数から除外し、実質的に60年超の運転を可能にする方針を決定。関連法の改正案を今国会に提出することを目指す。現行の炉規法に定められた「原則40年、最長60年」とする運転期間についての規定は削除され、経済産業省が所管する電気事業法で改めて規定される見通しだ。
「将来老朽化した原発が動くことになる」と石渡明委員
 「私は、この案に反対します」—。会合の終盤、石渡明委員がきっぱりとした口調で異を唱えた。
 「今回の改変は科学的な新知見があって変えるものではない。運転期間を法律から落とすことになり、安全側への改変とは言えない。われわれが自ら進んで法改正する必要はない」

 地質の専門家として東北大教授などを歴任し、2014年から委員を務める。日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の審査で、地質データの書き換えが判明した際には、審査の中断を提案した。原発の運転期間見直しでは、昨年11月に規制委事務局が新規制案について電力会社からの意見聴取を提案した際も、「時期尚早」と反対。議論は先送りになった。
 新たな政府方針では、審査による停止期間が運転年数から除外される。現在、審査中の10基は電力会社の説明が不十分で長引いているケースがほとんど。地震津波対策の審査を担当する石渡委員は「いたずらに審査を延ばしているのではなく、残念ながら時間がかかっている。審査が長引くほど、その分だけ運転期間が延び、将来的により高経年化(老朽化)した原発が動くことになる」と指摘した。
 審査が難航することで、老朽原発の運転を助長する事態に強い懸念を示した。この日の会合では、山中委員長が「どういう運転期間になっても規制ができるようにする仕組みだ」などと説明したが、石渡委員は「私の考えは述べた通り」と引かなかった。