外環道トンネル工事 一部区間の工事中止命じる決定 東京地裁 | NHKニュース


リニア新幹線の地下トンネルとまさに同じ。


2022年2月28日 14時01分

首都圏の環状道路の1つ「東京外かく環状道路」のトンネル掘削工事の影響で陥没した道路の周辺の住民が申し立てた仮処分について、東京地方裁判所は国と東日本高速道路などに一部区間の工事の中止を命じる決定をしました。陥没が見つかった地域では工事が中断されていますが、陥没した現場を含む一部の区間は同じ工法では再開できなくなりました。
工事の中止が命じられたのは「東京外かく環状道路」=通称「外環道」の東名ジャンクションから中央ジャンクションまでの区間です。

外環道は東京 世田谷区と練馬区を結ぶ16キロの区間で地下の掘削工事が進められていましたが、おととし5月、建設予定地の周辺住民たちが「シールドマシン」という巨大な掘削機で地下深くを掘り進める方法には問題があるとして、国と東日本高速道路などにトンネル工事の中止を求める仮処分を申し立てました。

その後、おととし10月、東京 調布市で道路の陥没が見つかり、東日本高速道路は工事を中断し掘削工事が要因の1つと推定されるという分析結果を公表しています。

東日本高速道路などは工法に問題はなく再発防止策も講じると争っていましたが、東京地方裁判所は28日「再発防止策が具体的に示されていない」などとして住民たちの申し立てを一部認める決定をしました。

東日本高速道路は陥没現場以外の場所から工事を再開していますが、今回の決定により陥没した現場を含む区間は同じ工法でのトンネル工事は再開できないことになりました。
東京外かく環状道路とは「東京外かく環状道路」=「外環道」は東京・埼玉・千葉を環状に結ぶ全長85キロの高規格幹線道路です。

このうち東京 練馬区と世田谷区を結ぶおよそ16キロの区間で工事が進められています。

市街地を通過するルートのため「大深度地下」と呼ばれる地下40メートル以上の深さで作業が進められています。
建設はシールド工法で地下のトンネル工事は「シールドマシン」と呼ばれる直径およそ16メートルの大型機械で掘削すると同時に、コンクリート製のパーツを組み上げて壁を取り付けながら進んでいくというものです。

掘削工事は2017年2月に南側の東京 世田谷区にある東名高速道路の東名ジャンクションから北に向けて始まり狛江市や調布市の地下を堀り進めていたほか、2019年1月からは北側の東京 練馬区にある関越自動車道の大泉ジャンクションからも掘削工事が始まりました。

しかしおととし10月以降、トンネルの真上に当たる調布市の住宅街で道路の陥没や地下の空洞が相次いで見つかり、この地域での工事は中断されています。
大深度地下とは
「大深度地下」とは地表から40メートル以上の深さの地下のことで、大都市の地下空間を活用できるよう法律で定められています。

大深度地下の利用は公共の利益となる事業に限られ首都圏、中部、近畿の一部区域が対象です。


この深さの地下は通常、利用されないと考えられることから、開発に当たっては基本的に用地の買収や土地の所有者への同意は必要ありません。

国土交通省は「大深度地下」の利用で効率的なルートを設定でき工期やコストの短縮が見込めるほか、浅い地下と比べて地震に対して安全なうえ騒音や振動の減少にもつながるとしています。

「大深度地下」での工事は東京外かく環状道路のほか、品川・名古屋間で開業を目指す「リニア中央新幹線」の東京都と神奈川県、それに愛知県の一部区間で計画されています。
これまでの経緯
東京 調布市の住宅街で陥没が見つかったのはおととし10月です。その後、地下の空洞も相次いで見つかりました。

周辺の住宅では壁や基礎の一部などに亀裂が見つかったほか、市役所には陥没が起きる前から住民から「家が揺れる」などといった連絡が相次いでいました。

地下深くでトンネル工事を進めていた東日本高速道路は工事を中断して有識者による委員会を設置し、原因を調査しました。

その結果、委員会はシールドマシンで地下を掘り進める際に施工ミスで土を取り込みすぎたことが原因となった可能性が高いなどとする報告書をまとめました。

東日本高速道路はトンネルの真上部分については工事の影響で地盤が緩んだと認めて補修を行う方針を決め、対象のおよそ30世帯について移転に向けた交渉が進められています。

一方、去年10月には住民の依頼を受けて専門家が行った調査で工事による振動でトンネルの真上以外でも地盤が緩んだ可能性が示されました。これに対し東日本高速道路は独自の調査で「工事の振動が地盤を弱めた事実は確認されなかった」とする見解を公表しています。

また東日本高速道路や国などの事業者は先月までに再発防止策をまとめ、シールドマシンによる土の取り込みすぎを防ぐため削った土の量を厳しく把握することや、騒音や振動の監視を100メートル間隔で行い結果を現地で表示するなどとする方針を公表しました。

東日本高速道路などは今月下旬に陥没が起きた場所以外の地域から工事を再開していました。