強い濁り 幼生「生息地」を直撃 発生原因、官民の調査必要【サクラエビ異変 母なる富士川】|あなたの静岡新聞





濁りはサクラエビの卵のふ化や幼生の成長を阻害する―。荒川久幸東京海洋大教授(58)の研究グループが28日までに明らかにした実験結果は、資源量が危機的水準にあるとみられるサクラエビ漁の関係者が、高い関心を持って見つめることになる。今後はサクラエビが産卵から漁に適した大きさに成長する過程と、濁りの発生原因や拡散状況との関係を精度を高めて追究していく必要があり、グループは研究を精力的に続ける方針だ。



 今後の研究のポイントは.汽ラエビの卵や幼生の生態▲汽ラエビにとっての駿河湾奥の地理的重要さ―が主軸になる。このうち,蓮大森信東京海洋大名誉教授(83)=生物海洋学=が論文などで明らかにしている部分が多い。
 
 ▪猴匹裘董
 サクラエビは産卵期が近づくと雌雄が別々に群れ、メスはより沿岸域の上層に出現する。卵や幼生は表層のうち浅い場所に生息することが分かっている。場所は海況によっても左右されるが、川の濁りは海の比較的浅い場所で強いとされ、研究成果を踏まえるとサクラエビの産卵から幼生期に影響を与えている可能性が高い。
 △砲弔い討蓮∀儕がサクラエビにとって「急所」と呼ぶべき場所だと漁業者も認識している。「母なる川」の富士川は栄養塩を多く供給し、河口など湾奥ではこうした栄養塩により幼生の餌となる植物プランクトンが大発生する。卵や幼生を滞留させる特徴的な沿岸流も存在し、湾奥はサクラエビの“揺り籠”と言え、「そこに強い濁りが常時出ている意味を考えるべき」(荒川教授)だ。
 
 ▪複合的
 県は2020年2月以降、富士川沖と日本軽金属蒲原製造所沖で浮遊物質量(SS)の分布調査を計8回実施。卵や幼生の生息する表層のうち浅い場所では1リットル当たり10〜数百ミリグラムのSSを記録したときもあった。駿河湾に注ぐ同製造所放水路の濁度は県企業局が観測しており、近年は高い傾向にある。
 富士川上流域では、少なくとも11年夏以降、日軽金出資の採石業者による高分子凝集剤入りポリマー汚泥の大量不法投棄が継続。専門家は「高分子凝集剤によって集合された泥の粒子は密度が低い状態にあるため軽く、水流などの影響でより下流に拡散される」と説明。プラスチック成分による環境破壊の枠組みでも精査すべきとの指摘もある。
 湾奥の濁りは自然由来のものも含め複合的原因で生じているとされ、官民挙げた広範な調査研究が不可欠な状況だ。
 (「サクラエビ異変」取材班)