図書館本

毎日新聞に連載されたエッセーの単行本化。

久々に梨木さんの本を読んだ。
年齢が同じと言う事もあり? 親近感があるのは事実。
しかし、圧倒的な自然への造詣の深さや、語彙の迫力と丁寧さ、深さ、優しさに感動する。
特にエッセーは身の回りの事象を実に見事に目の前の光景の様に綴ってくれる。

八ヶ岳に購入した中古の山荘と新たに作った離れ。母屋の薪ストーブ、離れの暖炉。
薪のぬくもりを得るまでの描写が素晴らしい。

その山荘を取り巻く環境と自然への眼差しが非常に優しい。
また、これまで訪れた場所での経験、お父様の介護とその看取りなど。

また、日本の現状や沖縄、新型コロナ問題、難民認定と人権等に対する不条理な対応への憤りもヒシヒシと感じる。
そしてこんな事も吐露している。
桐生悠々(戦前のジャーナリスト)の「他山の石」を読んで、当時の世相が今のそれと極似していると驚いたと。

新たな連載がまた始まっているが、療養生活をされているようです。心より回復をお祈りいたします。

炉辺の風おと
梨木 香歩
毎日新聞出版
2020-09-19