図書館本 良書

遠藤さん(1944-)の生き様を食物を通して綴っている感じ。

食文化は地域地域により異なっていて、本書に登場するザザムシも長野県でも一部地域が
メインとなっていたりします。
自然からの恵みは、山からであり、海からであり、山と海を繋ぐ川からであろう。
まさに自然に生かされて生きてきた人間に対して、遠藤さんの見る目は非常に優しい。
厳しい自然環境の中でも時に楽しみながら動物や植物と対峙する姿が臨場感あふれている。
そして、だんだんとそんな食文化が環境破壊や地域の過疎化等で無くなって行く現状を
憂いている様にも感じる。

阿仁マタギの猟の話には故西根さんの話も登場するし、鮎のチン叩き漁なんている
面白い話もある。

そして吐露する
「人は、食うために切るのではない。生きるために食う。他の命を犠牲にして生きる価値を
どこに求めるのか。それが人間一人一人に突き付けられて課題にほかならない」

本書では扱われている食材。
野兎/ 鴉/ トウゴロウ/ 岩茸/ 野鴨/ 鮎/ 鰍/ 山椒魚/ スギゴケ/ スガレ/ ザザ虫/ イナゴ/ 槌鯨/ 熊/ 海蛇(エラブウミヘビ)/ 海馬(トド)

若干話が盛られていると思われる部分もあるがそれはそれで面白い。

蓼食う人々
遠藤ケイ
山と渓谷社
2020-05-07