購入してから1年以上積読のままでした。
本書はまさに野の学問がサイエンスに昇華した良書です。
これまでも釣り人と水産学分野での繋がりは、既に廃刊となった淡水魚保護協会の機関誌『淡水魚』『淡水魚保護』が存在した。
アカデミアの研究者は気が付かないノイエス(新規発見)が実は釣り人や漁業者が知っていたりする。
本書は研究者であり釣り人(釣りキチが正しい?)である筆者が自分の足と頭で作り出した博士論文でもある。
釣り人を満足させ、地域を進行し、種の多様性や自然を保護保全するために何をするべきか?
単なる提言ならいわゆる専門家が何とでも言えるのであるが、データに基づき、論理的に説得力を持つ取り組みは少ない。そんな中で本書のフィッシングツーリズムと環境保全の両立論はまさに今後の釣り業界や行政にも受け入れられていって欲しい。

一つだけ、メモとしておきたい。
ミヤベイワナの名前は札幌農学校2期生の宮部金吾(クラーク先生には習っていない、ミヤベイワナの発見者)の名前から取られている。そして名づけ親は大島正満氏(台湾淡水魚の父とも言われる)である。正満氏は大島正健氏(札幌農学校一期生でクラーク先生から教えを受けている)の長男である。巻頭言を書かれている坪井氏(当時 山梨水試、現水産研究教育機構)が居た甲府にある甲府中学(現甲府一高k)の校長をされ石橋湛山をはじめとする優秀な人材を育てたのが正満氏の父正健氏(Boys be ambitious 青年よ大志を抱けを後世に伝えた)である。