濁り原因、両県食い違い 静岡、山梨まとめ難航 早川水系調査|静岡新聞アットエス


山梨県側はまったく調査報道せず。
記者クラブの発表だけを記事? その記事すら見当たらない。

将来のために記事を保存

以下記事

駿河湾サクラエビの不漁を受け静岡、山梨両県が5〜7月に早川水系で行った濁りの実態調査の取りまとめ作業が難航している。発生原因と生態系への影響評価に対する両県の意見に食い違いがあるためだ。富士川の上流と下流で濁りの捉え方の違いが鮮明となっている。
 「厳しい調整中だが、遠くない将来きちっと報告できる」。9月末の川勝平太知事の定例記者会見。中平英典水産業局長が補足説明し、両県の食い違いを認めた。当初は8月末にも取りまとめが完了するはずだった。
 最大の相違点は、日本軽金属の導水管などを経て、駿河湾に流れ込む濁りの源。早川水系には雨畑ダムや砂利プラント、リニア中央新幹線工事など人の手が多く入る。「『糸魚川―静岡構造線』がありもともと土質がもろい」と主張する山梨県。一方、10回程度、14カ所で行った調査では、砂利プラント周辺で濁りが強く、静岡県は「重機が常に河川をかき混ぜている。人的要因も相当程度ある」(幹部)と譲らない。
 アユなど生態系との関係も見方が異なる。雨畑ダム堆砂除去の行政指導を徹底するよう国土交通省に申し入れた長崎幸太郎山梨県知事は「濁りが原因かは不明」。静岡県の意見は「間違いなく影響する」としている。
 サクラエビ不漁との関係は両県とも今のところ「分からない」。静岡県は9月補正予算に1350万円を計上し調査する方針。4日の情報連絡会で鈴木伸洋・東海大非常勤講師は産卵量などから「今期は顕著な影響は見られない」と私見を述べつつ、海の環境調査の重要性も挙げた。

■「回復」根拠、異論も
 県桜えび漁業組合の実石正則組合長が秋漁実施の根拠にした県水産技術研究所の花井孝之研究統括官によるサクラエビの資源回復に関する説明。資源量が上向いているとする根拠や現状認識には異論も存在する。深海に住むサクラエビの生態の理解が関係者の間で共有できていない背景がある。
 4日の情報連絡会。冒頭で資源状態の説明に立った花井研究統括官は「個人の見解」とした上で、駿河湾全体での7、8月合計の総卵数が約500兆粒に達した分析を示し、前回連絡会(9月20日)と同じく回復傾向にあると強調した。富士川沖に卵が少ない現状に対し「何らかの理由で親エビが湾奥まで北上できない状態」と解説したが、その説に「自信はない」とも吐露した。
 サクラエビ研究の第一人者、東京海洋大の大森信名誉教授らの「さくらえび漁業百年史」などは、主産卵場の富士川沖(湾奥)で春夏に産卵ピークがあることを重要視し、そもそもサクラエビは成長に伴って北上するわけではないと記している。




濁り 静岡新聞富士川濁り2