副題:3.11後の「言ってはいけない真実」
新書なのに300ページにおよぶ大作そして良書です。
素晴らしい女性記者です。

調査報道とはこういう事だというお手本なのだろうと思う。
そして被害者に寄り添い、真摯に真実に向かい合う。
時に悲劇的な結末に立ち合い、心が折れる事も有った事は容易に想像できる。

3.11原発震災が何を残し、弱者をより弱者へ押しやっているのか、それは原発ムラはもちろんだが、心無い無知な同胞としての日本人でもある事が本書から良く分かります。

備忘録メモ
不都合な真実を残そうと綴る
損するのは現場(東電)
除染の不法投棄 作業員たちの証言 
作業員から襲われそうになった事も(カラオケボックスで取材中)
1Fでのガレキ処理に伴う 放射性物質飛散 2013年8月 米汚染
2014年7月報道 地元住民にはそれまで知らされず
東電を守るという経産省の結論ありき
原発いじめ 避難住民へのいじめ、いやがらせ 自殺
被害者、避難者の声は、復興、五輪、再稼働の御旗のもとにかき消されていく


目次
はじめに
第1章 「すまん」──原発事故のため見捨てた命
第2章 声を上げられない東電現地採用者
第3章 なぜ捨てるのか、除染の欺瞞
第4章 帰還政策は国防のため
第5章 官僚たちの告白
第6章 「避難者いじめ」の真相
第7章 捨てられた避難者たち
エピローグ──忘れないこと、見続けること
青木美希(あおき・みき)
新聞記者。1997年、北海タイムス入社。北海タイムス休刊にともない、1998年9月に北海道新聞入社。旭川と札幌で勤務。札幌で警察担当のときに北海道警裏金問題(2003年11月から約1年のキャンペーン報道)を手がける。2010年9月、朝日新聞に入社し、東京本社社会部に所属。東日本大震災では翌日から現場で取材した。2011年9月に社会部から特別報道部へ。原発事故検証企画「プロメテウスの罠」などに参加。2013年、特別報道部の「手抜き除染」報道を手がける。取材班は新聞協会賞を受賞した。