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僕より1つ若い樋口氏のノンフィクション的フィクション青春エッセイでしょうか。

あの日、あの時、誰もが時に甘く、そして苦い経験。
さらに一生刻まれる想い出。

キャロル、チューリップ、ボブディラン
深夜放送で流れる音楽
家族、友人、中学・高校と続く青春 そして2018年。

モリケンの家には車があった、そして中学で給食だった。
僕の家には車などなく、スーパーカブがあり、中学は弁当か買い食いだった。
まあ、そんな事はどうでも良いのである。

ひと夏の想い出、焚き火、海岸、キャンプ、釣り。
そんな想い出が人の一生の記憶に鮮明に残る。
皆の夏休み。

ふと池田晶子の文章を想い出す。
暮らしの哲学より

回帰する季節に記憶を重ねることで、人生の一回性を確認することに他なりません。中略。
大人になっても夏は来ます。でも夏休みはもう決してやって来ない。

毎年、夏の気配を感じとる頃、夏を待っているのか、夏休みをまっているのか、よくわからない感じになる。
大人になって勝手に夏休みをとることができ、贅沢な旅行ができるようになっても、子供の夏休みの日々、あの濃縮された輝きにかなうものではないとういうことが、よくわかっている。おそらくすべての大人がそうでしょう。

すべての大人は、もう決してやって来ない夏休みを待っている。人生の原点であり頂点でもある無時間の夏、あれらの日々を記憶の核として、日を重ね、年を重ね、流れ始めた時間の中で繰り返しそこに立ち戻り、あれらの無垢を超えることはもうこの人生にはあり得ないのだという事実に、今さらながら驚くのではないでしょうか。
(夏休みは輝く)

今度、樋口さんと焚き火する機会があれば、聞いてみよう。あの夏休みの事を。

風に吹かれて (ハルキ文庫 ひ 5-8)
樋口明雄
角川春樹事務所
2018-08-09