「今しか見られない!」建設最盛期の八ツ場ダム | 日経 xTECH(クロステック)


どれだけ愚かなだろう。

インフラ観光? バカじゃね?

ダムで観光が成り立って地域があるのか?

地域共同体を破壊し、森、川、自然を破壊して。
作る理由がなくなると多目的ダムと主張する。

ダムが欲しい訳でなく、ダム工事が欲しい連中!

作りたければ自腹でやれ!

是非こちらのHPも見てください。
https://yamba-net.org/


以下記事
 東京から北西に約130km。群馬県長野原町を流れる利根川の支流、吾妻川の中流部で八ツ場(やんば)ダムの建設工事が最盛期を迎えている。首都圏で唯一の建設中のダムということもあり、事業を進める国土交通省八ツ場ダム工事事務所はダムの工事現場を間近に望むインフラツーリズムとして「やんばツアーズ」と呼ぶ現場見学会に力を入れている。

八ツ場ダムは2009年の衆院選で「コンクリートから人へ」のスローガンを掲げ第一党となった民主党政権が、工事の凍結を宣言したことで注目された。その後、国交省が洪水調節や水道用水の確保などの目的を果たすためにはダムを建設するのが最も有効だとする報告書をまとめたことで、工事は11年に再び動き出した。

 建設の是非が問われることの多いダム工事。国交省は市民が普段、目にすることがない工事の機会を捉えて、ダムを整備する意義や工事現場の魅力を多くの人に伝えようとしている。

 八ツ場ダムは堤体の高さが116m、頂部の幅が290.8mの重力式コンクリートダムだ。霞が関ビル2棟分に相当する約100万m3のコンクリートで堤体を築き、堤体自身の重さでダム湖の水をせき止める。

 堤体のコンクリートの打設が始まったのは16年。18年5月時点で堤体の7割の高さまでコンクリートを打ち上げた。建設に要する総額は約5320億円で、19年度の完成を目指す。

予約不要で「ぷらっと」参加も可能

 やんばツアーズは17年4月に本格スタートした。以前は1カ月で最大500人だった見学者の受け入れ体制を、「やんばコンシェルジュ」と名付けた案内人を配置するなどして最大5000人に増強。団体客向けのツアーだけでも1週間に最大21回実施するなど、国内の公共工事では前例のない規模の受け入れ体制を整えた。

 その結果、18年3月までの1年間で約2万9000人が現地を訪問し、ダム工事そのものが観光資源になり得ることを証明した。

 国交省が打ち出したキャッチフレーズは「今しか見られない」。日々刻々と変化し、完成してしまえば二度と見ることのできない工事中の様子を体感してもらう。

18年4月からは、日本一のインフラ観光ツアーを目指して内容を拡充した。個人向けに5種類、団体客向けに5種類の計10本もの見学プランを用意している。

 例えば、旅の途中で思い立ったら予約不要で1人でも参加できる「ぷらっと見学会」は、木曜日を除く平日は1日2回、土日祝日は1日5回の頻度で開催する。参加費は無料。それぞれ40分ほどかけて、普段は入ることができない工事現場を歩いて巡る。

 第3土曜日に開催する「土曜の夜の現場見学会」も1人で参加可能だ。午後7時半に集合して、約50分かけて夜間工事の現場を歩く。八ツ場ダムが好きな人々で「八ツ場ダムファン倶楽部」を組織し、ファンミーティングと称した会員限定の特別見学会も不定期で催す。

事前予約が必要となるものの、団体客向けのツアーもある。国交省によると、参加者の多くは東京都や埼玉県、茨城県からの観光客で、旅行会社が企画した観光ツアーや、会社の慰安旅行などに組み込まれる例がほとんどだという。近隣にある草津温泉などの行き帰りに立ち寄るパターンが多い。

 例えば、「やんばコンシェルジュご案内ツアー」は、地元在住の案内人が工事現場を案内する。ダム上部から見学する50分のコースに加え、ダム下部も巡る90分のコースもある。参加者は特典として、「八基石」と名付けた八ツ場ダム堤体を支える基盤の石などがもらえる。

 小中学生を対象とした「まるごとやんば体験ツアー」は、社会科見学などの学校行事として受け付ける。工事現場の見学に加え、セメントで八ツ場ダムのミニチュア模型を作ってもらい、ダムの仕組みを学べるように工夫した。

 さらに、「八ツ場最先端技術見学ツアー」や「Yamba Inboundツアー」などもある。前者は一般市民向けの説明では物足りない土木技術者や土木系の学生が対象で、現場の技術者が同行して最新技術を熱く語る。後者は訪日外国人向けのツアーだ。

総延長9kmのベルトコンベヤーで骨材運搬

 ダム堤体のコンクリートは、砂や砕石などの骨材にセメントを混ぜて製造する。八ツ場ダムの場合、必要となる骨材の量は約90万m3に達する。ダムの上流側に9kmほど離れた原石山で骨材を採取して、堤体近くまで運んでいる。

 大量の骨材は当初、25t積みの重ダンプを1日当たり延べ220台使って原石山からダム堤体までピストン輸送する計画だった。しかし、ダムの堤体工事を手掛ける清水建設・鉄建建設・IHIインフラシステムJVは、総延長約9kmのベルトコンベヤーで骨材を運ぶ計画に改めた。

清水建設JVの仁瓶崇史統括副所長は、「運搬コストは同等だが、ベルトコンベヤーを使うことで二酸化炭素の排出量を63%削減できる。騒音や振動、粉じんの低減にもつながる」と、環境面の利点を強調する。

 国内でも石灰鉱山などで総延長20km以上に及ぶベルトコンベヤーが設置されており、決して珍しいものではない。しかし、コンクリートの打設期間が数年に限られるダムの工事で、これほど長距離のベルトコンベヤーを設けた例は他にない。

 清水建設JVはベルトコンベヤーの設置場所を工夫した。一部の区間は、ダム建設に伴ってルートを付け替えたJR吾妻線の廃線をそのまま生かしたのだ。

 ベルトコンベヤーがかつての線路や橋梁に沿って延びる。「レールを撤去せず、ベルトコンベヤーをレール上に直接設けることで、仮設の工程を短縮した」と仁瓶統括副所長は説明する。