図書館本

山本さん(1964− 長崎大教授)は以前、翻訳本を監修されています。
ブレイザーのMissing Microbes, 失われてゆく、我々の内なる細菌 2015
併せて読まれるとより理解が深まるのではと思います。

まさに腸内細菌と抗生物質の切っても切れない関係性。

非常に分かりやすく、人間と微生物の関係性を綴っています。
そして近年、急激な進歩を遂げる遺伝子解析から解明されてきた、第二の脳とも言われる
腸内細菌叢(マイクロフローラ)と疾患の関係性など。

肥満、アレルギー、糖尿病、クローン病など。
抗生物質により肥育効率が劇的に向上した家畜、そしてその弊害は?
帝王切開と自然分娩での出生児の差異は?

まさに、私たちと共生している細菌やウイルス。
いかに微生物と上手に付き合うのか?
抗生物質の無秩序な使用がもたらす薬剤耐性問題と人類の未来。

良書です。



目次 出版社のHPより
プロローグ――抗生物質がなくて亡くなった祖父母、抗生物質耐性菌のために亡くなった祖母

第1章 抗生物質の光と影
 二人の患者――エピソード1/ペニシリンの発見/劇的な効果/抗生物質が効く仕組み/コモンズの悲劇/耐性菌の登場/進化の安定戦略が教えてくれるもう一つの重要なこと/急増する肥満は現代の疫病か/アレルギー/糖尿病/現代の疫病
【コラム】碧素一号の完成

第2章 微生物の惑星
 レーウェンフックの見たもの――エピソード2/微生物の惑星/ウーズの分類体系/微生物がつくるネットワーク
【コラム】失われた光の輝き

第3章 マイクロバイオームの世界
 「ヒトゲノム計画」の完成がもたらした衝撃――エピソード3/キメラとしての「私」/マイクロバイオームとは/ヒト・マイクロバイオータとマイクロバイオームの世界/共生細菌と私たちの免疫系/窒素を固定する腸内細菌
【コラム】水と石炭と空気からパンを作る方法

第4章 抗生物質が体内の生態系に引き起こすこと
 腸内細菌の移植実験――エピソード4/家畜への使用と巨大化/マーティン・ブレイザーの実験/ヒトの身長と体内衛生環境仮説/旧石器時代後期にもヒトの身長は低下していた/体内衛生環境仮説とベルクマンの法則に関する一私見/ポスト抗生物質時代の疫病をとりまく謎/子ども時代の影響/オランダの飢餓の冬
【コラム】過去にも肥満は存在した

第5章 腸内細菌の伝達と帝王切開
 ゼンメルワイスの悲劇――エピソード5/帝王切開で救われた命/帝王切開は、近代医学の福音だった/行きすぎた近代医学の応用/母から子へ受け継がれるもの、それを阻害するもの/エイヴォン親子長期研究/感染症と母乳と免疫と常在細菌

第6章 未来の医療
 コッホの実験――エピソード6/菌の不在から始まる病気――新しい医学/抗生物質の冬/抗生物質使用のジレンマ/失われたものの大きさ/「人間(ヒト)中心主義」とそれに対する批判

エピローグ――世界の腸内細菌を探しに

あとがき
参考文献

失われてゆく、我々の内なる細菌
マーティン・J・ブレイザー
みすず書房
2015-07-02