図書館本

良書
キュレーターの小原さん(1979-)が宮崎さん(1949-)のこれまでの写真家(野生動物学者と読んでも良いかとは思う)としての経験と実績を対談と言う形を通して綴っています。

独自に開発してきた無人カメラでの撮影で見えてくる日本の野生動物や森の姿が非常に興味深く、かつ非常に重要な記録だと感じる。

何冊かの宮崎氏の作品は拝見しているが、まさに学者(研究者)がしてこなかった観察を画像と言う形で私たちに見せてくれる。
もちろん、野生動物だけでなく、その動物たちが生きてきた環境としての森も丁寧に観察して、現在の森林飽和状況にも言及する。

野生動物の死も九相詩絵巻と同じであり、生老病死が循環している時間軸で捉えているのが非常に
説得力がある。
生きる動物だけを対象とするのではなく、死がまた他の動植物の栄養となり新たな生をを生み出す。
死―宮崎学写真集 大型本 – 1994 

また宮崎さんが以前より指摘している冬季の道路への凍結防止剤(塩化カルシウムや塩化ナトリウム)の野生動物の摂取問題。果たして調査研究がされているのだろうか?

その他、環境破壊の問題、徳山ダム(徳の山としての地域)、日本中、あるいは訪問した世界各地の
動物に関しても議論しています。

ツキノワグマが実は民家の近くに普通に進出していたり、昼間人々があるく遊歩道に夜は熊が出没していることを写真は明らかにしてくれる。そして熊が森でのスカベンジャー(お掃除や)であることも。