長崎県と佐世保市が進める石木ダムの建設計画、豊かな自然と13世帯の生活を奪うことの正当性は?|@DIME アットダイム




パタゴニアは「ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する」ことを企業理念の中に掲げ、様々な環境保護活動を行なっている。長崎県と佐世保市が東彼杵郡川棚町に建設計画を進める石木ダムについて、多額の税金を投入しながら豊かな自然と13世帯の生活を奪うだけの建設の正当性や説明が乏しいことを疑問視してきた。

そこでパタゴニアは、外部のリサーチ会社を利用し、今年5月23日〜31日の期間で長崎県民2500人を対象とした「石木ダム建設計画」に関する調査を実施した。その結果、県民の中で「反対」が「賛成」を上回り、また県民の約8割が建設計画に対して「説明不足」だという回答が出た。これを受け、パタゴニアは、一度立ち止まって専門家の意見に耳を傾け、賛成、反対、中立の立場の人たちが、公開の場で話し合うことの必要性を呼びかけている。

■長崎県民が負担する538億円

長崎県・川棚川の下流にある小さな支流、石木川にダムを作る建設計画がある。総工費は538億円。長崎県民が負担する(※1)。
※1 石木ダムの総事業費は建設費と関連事業費を合わせて538億円。負担先は、長崎県負担185億円、佐世保市民負担353億円。うち、国庫補助金(=国民の税金)147.5億円。

■ダム建設に反対の割合が賛成者を上回る

長崎県民がこれだけ大きな負担を負うにもかかわらず、実は、ダム建設に反対する人の割合は賛成する人を上回っている。また、県民の2人に1人が石木ダムの計画について「よく分からない」と調査で答えるなど、客観的に見て、巨額の公共事業の進め方としては疑問を呈さざるを得ない状態。

■「説明不十分」の回答が県民の約8割

石木ダムの建設計画は40年前からあるため、「石木ダム」という名称自体は有名。しかし、その必要性や県民の負担についてきちんと理解できている県民は少なく、調査でも、県民の約8割が、県が「十分な説明をしていない」と答えている。またこれまで、ダム建設予定地の地権者など、石木ダムの建設に反対する団体が公の場で県の恣意的な水の需要予測や治水に役立つ根拠の無さなど、その必然性に対する疑問を呈してきているが、それに対する長崎県の直接的な回答はない。

■公の場で、推進と反対と中立の立場の議論を!

専門家をまじえて、ダムを造りたい人と、ダムに反対する人とそれぞれの意見が一度に聞ける公開討論会の開催を長崎県に求めるため、Change.orgで署名を6月22日より開始した。

文/編集部