図書館本   絶対のお勧め本
調査報道のあるべき姿を示していると思います。

日本における戦争という仕事(内山節著)が経済的徴兵制(奨学金を返済できない学生、移民同様に低賃金で働かざるを得ない非正規雇用日本人)と憲法の解釈変更、安保法でリアルになる様を綴っているように思う。そして武器(戦争)商人としての日本企業が存在する。
いつも戦争は「自衛」のためと言って始まる事を覚えておこう。
そして最終的には科学者や技術者の社会的責任の問題が大きな役割を担うのだろう。


備忘録メモ

武器ではなく防衛装備品と呼ぶ日本
武器輸出3原則 1967年 佐藤栄作 76年三木武夫
新3原則 防衛装備移転3原則 2011年 野田政権で方針転換し安倍政権で 禁輸対象国はわずか12か国
デユアルユース(軍備、防衛に応用可能な民生技術)と大学研究者
武器企業、下請け企業がテロの対象となる可能性
日本企業が製造する武器価格 国際的な価格の3−8倍 ファミリー化が進んでいないから
ソニー製のビデオカメラ ベトナム戦争でスマート爆弾の誘導部に装着
輸出の審査基準の曖昧さ
日本が目指すアメリカ式軍産複合体
スターウォーズ計画(米 1983)国防費から大学へ研究開発資金として
軍事的研究計画の民需に転化する:スピンオフ その逆をスピンオン
東大 軍事研究中止(反対)から「研究者の良識のもと、軍事・平和利用の両義性を深く意識しながら個々の研究を進める」に
日本学術会議 突然の私見披露 大西隆会長 京大山極総長が危機感をあらわす。
3D仕事(ダル(退屈)、ダーティ(汚い)、デンジャラス(危険))を無人航空機に
グローバルホーク3機1000億 三沢基地 GA−ASI社 3機100億
無人攻撃機(プレデター)の操縦士のPTSD問題 守秘義務と殺人というストレス

あとがき 南原繁(戦後初の東大総長)の論集より
「大学は国家の名において学問研究の自由の範囲が著しく狭められ、時の権力者によって都合よき思想と学説が保護せられ、これに反するものはしばし迫害せられ、弾圧せられ来った。われわれは、わが国の教育をかような官僚主義と中央集権制度から解放し、これを民主的また地方分権的制度に改編しなければならぬ」
「国の政治に何か重大な変化や転換が起きるときは、その前兆として現れるのが、まず教育と学問への干渉と圧迫である。われわれは、満州事変以来の苦い経験によって、それを言うのである」
「大切なことは政治が教育を支配し、変更するのではなく、教育こそいずれの政党の政治からも中立し、むしろ政治の変わらざる指針となるべきものと考える。…いまの時代に必要なものは、実に心理と正義を愛する真に自由の人間の育成であり、そういう人間が我が国家社会を支え、その担い手になってこそ、祖国をしてふたたびゆるぎない民主主義と文化的平和国家たらしめることができる」


武器輸出と日本企業 (角川新書)
望月 衣塑子
KADOKAWA/角川書店
2016-07-10