規制の虜 黒川清  講談社 2016

図書館本
原発震災は人災でありグループシンク(集団浅慮)の愚である。
これが本書のサマリーだろう。

福島原発震災の国会事故調(憲政史上初)のトップとして認識した日本型システムの問題点を単刀直入に指摘しています。
黒川さん(1936- )の青春時代からの経歴を含めて若い人々に対する遺言でもあるように思う。黒川さんほどの人がトップになって報告書をまとめ、提言書を国会に出しても何ら変わらない原発行政(原発ムラ)の姿が良くわかります。

黒川さんが定義する日本の中枢にいるリーダーたちとは
「志が低く、責任感がない。自分たちの問題であるにもかかわらず、他人事のようなことばかり言う。普段は威張っているのに、困難に遇うと我が身かわいさから直ぐ逃げる。」

規制の虜:規制する側(経産省)が、規制される側(東電等)に取りこまれ、本来の役割を果たせなくなってしまうこと。

9.11後 アメリカ、フランスは航空機による原発墜落当の防御策を日本に2度伝えたが何の対策も取らなかった。

IAEAの指摘する「深層防護」の考えを日本は無視(日本では原発事故は起こらないことになっている) 日本の脆弱性は世界中にバレていた。
不都合な真実は存在しない、記録等がなくて確認できない、ことになる。

F1の免震重要棟に関して清水社長は「もしあれが無かったらと思うとゾッとする」
にも係わらず、九州電力は「不要」と判断

国会事故調は日本国家の全身CTスキャン
規制の虜(Regulatory Capture) もたれ合い、なれ合いがしっくりこないから。

備忘録メモ
国会事故調設立前夜:初動ミスによる信頼喪失の例(UKのBSE問題)
事故調設立の提案 仙谷氏から菅直人首相に4枚のペーパー
国民の、国民による、国民のための委員会である。
調査統括 宇田左近氏
海外視察のアポは外務省を通さない 現地大使館では大使や大使館員との接触原則禁止
報告書を避難住民の代表である首長に事故調終了後に自費で手渡し
政府事故調は各省庁からの役人が報告書作成
公開性と英語での海外への配信
各委員会後のオープン記者会見 記者クラブ制度の問題点の指摘も
第9回委員会 参考人 深野弘行氏(通産省で原発関連、当時原子力安全・保安院長) 要領を得ない回答 責任のがれ
第12回委員会 勝俣会長 「それは社長の仕事である」連発
アカウンタビリティーとは説明責任などという無責任な言葉ではなく、「与えられた責務、責任を果たす」ということ
異論を言いにくい社会
グループシンク(集団浅慮)という意思決定パターン 異論の出ない組織は間違う
単線路線のエリート構造 終身雇用、年功序列、新卒一括採用、偏差値による大学の比較、同質性の高さ、タテのヒエラルキーでヨコに動きにくい社会構造
同調圧力により異論を言えない
海外からの委員を入れようとしたが出来なかった(日本の信用を得られない現実)
2012年12月 外務省主催の原発関連会議(福島)呼ばれなかった国会事故調
報告書が出来れば終わりという感覚 国民主権=国会(立法府、国権の最高機関)が機能していない
変わらぬマスコミの権威主義 委員長はどうおもうか?と聞くのでなく自分でされに腸さして書くべき
7つの提言の行方
1. 規制当局に対する国会(立法府)の監視
2. 政府の危機管理体制の見直し
3. 被災住民にたいする政府の対応
4. 電気事業者の監視
5. 新しい規制組織の要件
6. 原子力法規則の見直し
7. 独立調査委員会の活用

政策は役所が作るレベルからの脱却
役人は公僕とメディアも言わないから国民は役人を「お上」の人だと思い、メディアは「天下り」をカギカッコを付けずに使うようになっている。無意識のうちに役人に「服従」いている。
「服従文化」が国を破滅に導く 朝河貫一博士の警告「日本の禍機」
家元制の日本の大学
出る杭を育てる
わかりやすいプロジェクト(国会事故調編)はウェブで閲覧可能 テキスト&ビデオ等