サイエンスの進歩が人の健康向上に寄与する。
そして著者が言うように「うんちは茶色い宝石」なのである理由が本書に述べられている。

最近(実は昔からなのだが)特にトピックな腸内細菌(腸内フローラとかバイオータとも呼ばれる)の研究者が自らの研究業績から導きだす健康社会。

個人的には福田さん(1977-)の所属していた理研にいらっしゃった光岡 知足先生(東大農学部と兼任)の講義で聞いた腸内細菌の話に強い衝撃受けた記憶がある。そして学生全員が先生の著作「腸内細菌の話」 (岩波新書 – 1978 を頂いた。当時先生はご自身で嫌気性菌培養の実験器具を開発され、糞便からの腸内細菌の分離同定を行っていたと記憶している。
また肥満や各種疾患と腸内細菌の関係性も明らかになりつつあり、治療としての便移植なども行われつつあります。

その伝統だろうか、福田さんが大学卒業後に理研に就職されて行った素晴らしい研究が本書でも綴られている。
そして研究者としての心構えや態度をご自身の経験をもとに書かれています。これから研究者を目指す方は読んでおいた方が良いと思います。


備忘録メモ
急激な研究の進歩(生物学、医学同様だが)は次世代シークエンサー(遺伝子解析装置)の開発と
メタボローム解析技術の発達
うんちで分かる健康状態 色、排便回数 匂い
すでに巨大ビジネスになった腸内フローラ 疾患治療用腸内細菌カクテル 腸内細菌診断 個人用プロバイオティクス(乳酸菌等)
腸は第2の脳 腸と脳は迷走神経で連結
腸内フローラの多様性・バランスで健康に
腸内フローラとアレルギーの関係性 (小児期の抗生剤投与問題も最近指摘されています)
糖質制限ダイエットにより腸内細菌は変化する(注意が必要)
腸内細菌による食物繊維の発酵そして短鎖脂肪酸の産生
ヨーグルトきのこ(ケフィア)1990年代流行 維持が難しい?
雑穀の有効性 水溶性の食物繊維と不溶性の食物繊維
アサイー、イチジク、バナナなどにヨーグルトとオリゴ糖を混ぜてスムージーにして飲むのが良い
(光岡先生はたしかきな粉とヨーグルトと話していました)

おなかの調子がよくなる本
福田 真嗣
ベストセラーズ
2016-01-26