キャンペーン ・ 文部科学省: 小中学校におけるEMの利用を止めてほしい ・ Change.org
リンクから賛同をお願いします。
【以下、呼びかけ本文です】
その評価が科学的・学術的に定まっていないだけではなく、科学的にはあり得ない「万能性」をうたう微生物資材「EM」(通称:EM菌)が、全国の学校教育で用いられています。
EMは複数の細菌を混ぜ合わせたものとされ、元々は土壌改良などの農業資材として開発されました。しかしEMの開発者らは、環境浄化や健康効果、放射性物質の影響低減、ガソリンに混ぜれば燃費が向上する、などの機能もあると主張しています。
学校では、児童らにEMを混ぜた泥団子を河川に投入させて「水質が浄化される」と教えるなど、環境教育での活用が多くみられます。ただ、水質浄化でも顕著な効果が無いことは過去、公的機関に繰り返し指摘されています。これは、児童・生徒に科学的に誤った事実を信じさせることだけにとどまらず、彼らから疑うべき情報を疑う能力をそぐことになるのではないか、と懸念をおぼえざるを得ません。
正しい知識を子供達に伝達するべき教育に、このような背景をもつEMが入り込むことは不健全と考えます。
(1)河川などの浄化の効果が明らかではない
EMの投入によって河川などが浄化されたという実験結果で、公的な試験機関から得られたものがありません。逆に、顕著な効果が無かったという報告が地方公共団体から出てきています。
[岡山県]
http://www.chieiken.gr.jp/chieiken/oky_PDF/d331.pdf
http://www.chieiken.gr.jp/chieiken/oky_PDF/e331.pdf
[広島県]
http://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/70543.pdf(検証概要)
http://web.archive.org/web/20031207195111/
http://www.chugoku-np.co.jp /News/Tn03091304.html(報道アーカイブ)
上記のように、客観的な効果が認められていないもの、また、それを検証する手段が提示されていないものを、学校教育の場で無批判に利用することは、子どもの客観的判断能力の成長を著しく阻害します。これは公教育として、絶対にあってはならないことです。
(2)環境浄化への取り組みを誤解させた上、むしろ環境を悪くする可能性がある
河川や湖、海などで、「ヘドロが多い」「匂いがある」等の有機汚濁が問題になっている場所で水質を浄化するためには、
a)有機物の負荷を減らすこと、
b) 窒素やリンの負荷を減らすこと、
c)浄化機能を担う生物の生息場所である浅い 水域を増やすこと、
d)有機物を水域から取り除くこと、
e)水底まで酸素を行き渡らせること、
などが有効です。
EMを投入するだけで環境浄化に役立つと教えることは、これらa)〜e)に示したまっとうな環境浄化の方法を学ぶ機会を失わせることになります。
EMは微生物ですからそれ自体が有機物です。河川・湖・海に投入すればかえって水域への有機物負荷を増大させることになり、水質を
悪化させる可能性があります。
また、水中の有機物を分解する微生物は自然の中に多数いますので、そこにEMを追加しても、EMが狙った通りに増えるとは限りません。もし、狙った通り増えたとしたら外来の菌により元々の菌の組成を変えてしまうことになり、外来生物の導入という面からも望ましくありません。
EMは「有用微生物群」であるとされ、複数の微生物の混合物と推定されます。しかし、製品としてどんな菌がどういう割合で入っているかは明らかにされていません。
(3)(1)と(2)どちらが主に実現しても望ましくない結果になる
微生物を混ぜ合わせたものを海や川にごく少量投げ入れるわけですから多くの場合は、水質を変えたい水に対して圧倒的に少ない量のEMを加えることになります。これでは環境はほとんど変わらないことが予想され、この場合は(1)が実現します。すると、環境浄化目的でEMを使うことは、ただのパフォーマンスに過ぎず、情緒に訴えるだけで何の意味もないということになります。無駄なパフォーマンスをする習慣を学校で教育するのは良くないことです。
EMを入れたことで、微生物の分布が変わるなどの違いが生じた場合、(1)が実現するとは限らない上に(2)が主な問題となります。
(4)安全性についての情報が不足している
EMの人体に対する安全性について、はっきりした資料が出されていません。
プール清掃のために、生徒の自宅で培養したEMを投入するイベントを行った学校もありました。
どのような菌種であるかが明らかでないEMは、誤飲した際に、たとえ医療関係者であっても適切な処置をできない可能性が大きいでしょう。これは学校教育で使用する教材としては基本的な安全性に欠陥があるといわざるを得ません。
さらに、EM活性液・EM発酵液の製造プロセスには、原料及び器具の殺菌工程が無いのでどのような菌が優性になるかもわからず、人体に対する安全性の保証は困難です。子供達がそのような培養液に直接触れた場合の危険性は予測が困難です。
プール清掃用のEM活性液培養を自宅で行う学校の事例
http://www2.kobe-c.ed.jp/fkd-es/index.php?key=jo9zqkcx6-63
http://www.city.yukuhashi.fukuoka.jp/kyouiku/nobunaga-e/em/empage.html
川や海にEMを使った泥団子を投入して「浄化」する学校の事例
http://www.e-shiroi.jp/cgi-bin/ikn/topics/topics.cgi
http://www.e-shiroi.jp/sr1/tokusyoku/project/empro.html
http://www.ako-minpo.jp/news/2231.html
(5)飲用でないEM活性液を飲んでしまう事例があった
EM関連商品には、EM・X GOLDという発酵飲料があります。この商品と勘違いしたのか、学校で、農業資材用のEM-1を培養したEM活性液を飲ませた事例が新潟市で起きました。教師はこれを止めることができませんでした。
この件については、新潟市議会の平成27年2月定例会で議論されています。
https://www.youtube.com/watch?v=h2kYQ7VVePU (この映像の33分から)
http://em2civil.wiki.fc2.com/wiki/新潟市%284%29 (文字起こし)
食品でないものを学校で生徒に飲ませるのは危険です。
EM研究機構は、飲用でないものを飲むことについて一応の注意喚起はしていますが、その表現は「微生物資材のEM・1Rを飲まれる方もいるようですが、基本的には土壌改良材とご理解下さい。」にとどまっています。
(6)開発者の主張が全くの非科学である(販売元はそれを容認している)
EMの開発者は元琉球大学農学部教授の比嘉照夫氏です。比嘉氏は自説を「新・夢に生きる」や「蘇れ!食と健康と地球環境」という連載記事で展開しています。その中で、
「EMの本質的な効果は改めて述べるまでもなく蘇生の法則、すなわちシントロ ピーを支える抗酸化作用と非イオン作用と重力波と想定される三次元の波動作用 によるものです。」
http://www.ecopure.info/rensai/teruohiga/yumeniikiru21.html
「使用された建築用のEMは1,500トンあまり、この効果は一般用のEMの数倍にも なりますので、この地域は巨大な強烈なパワースポットとなっています。当然の ことながら、このような建物に住む人々は病気になることもなく、その中心部に ある大型のプールは、すでに聖水となっており、この2点だけとっても、地上天 国と言っても過言ではありません。」
http://ecopure.info/rensai/teruohiga/yumeniikiru86.html
「EMによる波動作用は、その当初より様々な現象を引き起こし、研究機関による EMの否定的見解の原因となってきた。すなわち、室内で化学物質の分解や水質浄 化の実験を行なうと、当初はEM投入区の方に明確な効果が認められるが、時間の 経過とともにEMを投入しない区の化学物質も分解されたり、無処理区の汚水も浄 化されるようになる。」
http://dndi.jp/19-higa/higa_61.php
などと述べています。
「シントロピー」は比嘉氏の造語です。「蘇生の法則」と呼ばれるようなものは科学の分野には存在しません。「三次元の波動作用」も全く意味不明です。「聖水」「パワースポット」はオカルトではポピュラーですが、科学には全く関係がありません。また、EMの作用が「波動作用」で、菌や物質が無くてもその作用が何も無い空間を伝わって効果を示すというのも、科学としては全くのナンセンスです。
しかし、EMを農業資材以外の用途で使うことを推進しているEM研究機構では、この比嘉氏の主張に何ら批判を加えないまま、開発者として紹介しています。(7月22日付け「新・夢に生きる」 http://www.ecopure.info/rensai/teruohiga/yumeniikiru97.html 参照)
さらに比嘉氏は「微生物資材で科学的検証の必要なものは「まったく未知の微生物」か「遺伝子組み換えをした微生物」に限られており、法的な義務づけがあります。EMは、そのいずれにも該当せず、科学的検証はまったく必要なく、各試験研究機関もEM研究機構の同意なしには、勝手に試験をして、その効果を判定する権限もありません。」
http://www.ecopure.info/rensai/teruohiga/yumeniikiru62.html
と主張し、科学的検証を拒んでいます。比嘉氏とEM研究機構は酵母、乳酸菌、光合成細菌と書くだけで、正式な名称を使わずに菌の分類が済んでいるように主張しています。菌の詳細な説明が何もないのにこれでは、比嘉氏らの主張を信じるか、疑う以外の選択肢がありません。これは、科学的根拠のある製品についての一般的な社会通念に全くあてはまりません。
学校でのEM使用の問題点は、その効果の有無をめぐる問題とは別に、EMの原理をめぐる非科学的主張に教育現場が一種の「お墨付き」を与えている、という点にもあります。児童・生徒の科学リテラシー育成に重大な悪影響を与える可能性が危惧され、不適当と言わざるを得ません。
まとめると、
・環境浄化のエビデンスがない
・環境汚染の可能性すらある
・環境浄化のプロセスを生徒に誤解させる
・(夢のような宣伝が原因で)間違って飲用する指導が行われる危険もある
・効果の説明が全くの非科学で、学校の理科教育と相容れないし両立もしない
という理由から、EMは学校で教育目的で生徒に使わせてはいけない素材であると考えます。
この主張に賛同されるかたは署名をお願いいたします。
署名の有効性を高めるために、高等教育機関、研究機関等に所属する方は所属機関名を氏名の後に記載願えないでしょうか。
宛先
文部科学省
小中学校におけるEMの利用を止めてほしい
キャンペーンの進捗
34分前
3,000人の賛同者
5日前
2,000人の賛同者
5日前
天羽 優子さんがこのキャンペーンを開始
悪用・不適切なものとして報告する
キャンペーンをシェア
3,003人の賛同者
5,000人まで残り1,997人の賛同者が必要です!
F