図書館本

吉野文六(1918年8月8日 - 2015年3月29日)逝去を新聞報道で先日知りました。
旧制松本中学(長野県松本深志高等学校)、旧制松本高等学校を経て、東京帝国大学法学部卒業、外務省。
教科書では習わない歴史が個人や組織の動きから理解できます。

佐藤さんが書く様にノブレス・オブリージュ(エリートとしての責務)な外交官であったと思います。
ナチスドイツ崩壊直前のベルリン駐在までにアメリカ、ポルトガル、スペインと旅行させる外務省の教育指導とでもいうのだろう配慮。
その時点で吉野氏はアメリカの経済的状況(誰もが車を所有すると日記に書く)を体感し、日本の敗戦を想定してのだろう。そしていかに日本の損害を少なく終戦に持ち込むのかと。
当時の外交官達の日記や外交文書を佐藤さんが読み込み、吉野さんとの面談を通して日本敗戦までの流れを示してくれている。

備忘録的メモ
わが闘争の現著と邦訳の違い
逃げ足の速い大使
沖縄密約の公文書発表における職業的良心(国益的?)真摯さ
ドイツへのソ連侵攻におけるソ連兵のレイプ事案の多さ
宮川舩夫ハルビン総領事のソ連の満州侵攻の確信、その後の長期拘留後に死亡(ソ連の違法拘留、名誉回復)
満鉄病院における「五族協和」という平等

佐藤氏が吉野氏より聞き取りした内容は今後さらに公表されるとの事。