調査報道という基本。決して記者クラブの様な発表報道では得られない事実の羅列。

烏賀陽(1963-)さんは福島原発震災を真剣に取材してきているジャーナリストである。
福島原発の完全廃炉を僕達は見届けるコトは出来ないのだろう、それほど時間と健康被害をもたらす原発。
それでもなお、原発を再稼働させ、なおかつ延命させようとする勢力がある。

本書はスリーマイル島原発(TMI)の歴史の過去、現在、未来を考え、福島を再考しようとしていると思う。
震災からもうすぐ4年、「風化」という言葉が囁かれ、2020年東京オリンピックに視線が逸れているようにも思う。
そしてアンダーコントロールと世界に宣言した国では未だ莫大な放射能汚染を海洋に流されていたことが2015年3月になって報告された。

TMIの35年後の2014年(メルトダウンは1979年)の取材を通して、福島の35年後2046年を考える。
そして同じデータを用いても異なる疫学調査の評価報告。(コロンビア大学、ノースカロライナ大学)


備忘録メモ
TMIの別の原発は稼働中 (1基がメイルとダウン、日本は3基)
TMI燃料棒の回収終了は1989年 発生から10年9カ月
州政府発表「健康への影響はない」
訴訟の多くは和解で終結 1979年提訴 2002年上告棄却 被告(原発側は事故と健康被害の因果関係を認めない)
廃炉2034年
16万人を対象とした疫学調査
福島の被曝量はチェルノブイリの1/10, TMIは1/100
疫学者が政府や産業界に疑問を投げかけると研究費が打ち切られる(日本と同じ?)
肺がんと被曝の関係性
TMIの教訓が生かされていない福島 情報公開、報道、住民避難(の失敗)
too fat and too happy (物質的に満足で無関心)なアメリカ
原発事故は起こるかという議論は終わり、次はどこで起こるのか。
監視団体(Watch Dog)で、反原発、反核団体にならない様に努力する活動
疫学データの読み方 significant(有意、偶然では無い) 有意差がないことは影響がない、安全であることではない
逃げ道としての言葉を曖昧にする(嘘は言っていないが、本当の事も言っていない)
結論だけのつまみ食い的ミスリード(誤解) 結論部分でいくつかの疾患の死亡率の上昇の持続、ガンとの関連性を完全に排除できないという指摘

原子力緊急事態宣言は今現在解除されていない

世論が忘却ー本や記事が売れないー出版社が出し渋るー本が出ないーますます世論が忘却する
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報道の脳死 (新潮新書)
烏賀陽 弘道
新潮社
2012-04-17