エネルギー政策 全原発停止を終わらせよう : 社説 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)


ムラ(マフィア)のやり方。メディアの原発広告

◆電力安定供給の回復が急務だ◆

 安全性の確保を大前提に、原子力発電所の稼働ゼロに終止符を打つ。安価で安定した電力供給を可能とする最適な電源構成を構築する。

 東日本大震災後に揺らいだ電力供給体制の正常化に向けた重要な年である。

 安倍政権は、原発を活用する現実的なエネルギー政策を推進しなければならない。

 ◆最適な電源構成を示せ

 電力は「経済の血液」とも言われる国力の基盤である。安定供給を回復しないと、安倍政権の経済政策「アベノミクス」も、成功はおぼつかない。

 政府は今月中にも、2030年の最適な電源構成の検討に入るという。各電源が長所と短所を補い合う「ベストミックス」を明確に掲げることが重要だ。

 震災前、日本の電力は、火力発電6割、原発3割、水力を含む再生可能エネルギー1割という比率で賄われていた。

 ところが、東京電力福島第一原発の事故の影響で、定期検査を終えた原発を再稼働できなくなり、現在は全発電量の9割を火力に頼る状況になっている。

 過度の火力依存の弊害は大きい。液化天然ガス(LNG)などの燃料費は、震災前より年4兆円近く増え、電気料金は企業向けが3割、家庭向けも2割上昇した。

 燃料のほぼすべてを輸入しているため、巨額の国富流出が続いている。政情の不安定な中東への依存が強まり、エネルギー安全保障の観点で不安がある。温室効果ガスの排出量も急増した。

 一方、太陽光や風力などの再生エネは国内で自給でき、地球環境への負荷が小さい利点がある。できる限り普及させたい。

 ただし、普及拡大のための固定価格買い取り制度は、コストが電気料金に転嫁され、利用者負担に跳ね返る問題がある。

 再生エネは、日照や風の状況によって発電量が急変するなど、多くの欠点も抱えている。現状では基幹電源とはなり得ない。

 原発は燃料費が安く、大量の電力を安定供給できる。政府が、原発を「重要なベースロード電源」と位置付け、中長期的に活用する方針を示しているのは妥当だ。

 ◆再稼働へ政府は前面に

 喫緊の課題は、安全性の確認できた原発を、着実に再稼働することである。

 九州電力川内原発(鹿児島県)1、2号機は昨年9月、原子力規制委員会の安全審査に「合格」し、地元自治体の同意も得た。

 ところが、書類提出などに手間取り、運転再開は春以降にずれ込む見通しだ。九電はこれ以上の遅れを招かぬよう、準備に万全を期してもらいたい。

 第2陣の関西電力高浜原発(福井県)3、4号機は「合格証」に当たる審査書案が決まり、審査は最終段階に入っている。

 関電は今秋の再稼働を目指しているが、立地自治体だけでなく、隣接する滋賀県や京都府が事前に同意を得るよう求めるなど、不透明な要素も少なくない。

 宮沢経済産業相らは関電任せにするのではなく、地元の説得・調整へ前面に立つべきだ。

 再稼働に向けた安全審査を申請している原発は、このほかに16基もある。規制委は安全性を最優先しつつ、効率的な審査に努めてもらいたい。

 今後、古くなった原発の更新や新増設を一切行わず、運転開始から40年で原発を廃炉にする原則を厳格に適用すると、49年に国内の原発はゼロとなってしまう。

 これでは、原子力産業の将来が見通せず、原発技術を担う人材も育たなくなろう。これから30〜40年かかるとされる福島原発の廃炉作業にも支障が出かねない。

 最新の原発を開発し、運用することで、高い原子力技術を維持できる。政府は、原発を新増設していく方針を明確化すべきだ。

 ◆最終処分に道筋つけよ

 電力不足に悩む新興国に安全性の高い日本の原発を輸出することは、日本の成長に資するだけでなく、国際貢献にもつながる。

 エネルギー資源の乏しい日本にとって、使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクルは必要な政策である。放射性廃棄物の容量削減など、メリットは大きい。

 ところが、日本原燃が青森県六ヶ所村に建設中の再処理工場の完成が当初予定から20年近く延期されるなど、計画の遅れは深刻である。着実な推進が求められる。

 原発の活用では、放射性廃棄物の最終処分場の確保は避けて通れない。候補地選定に道筋をつけることが肝要だ。
2015年01月18日 01時03分 Copyright c The Yomiuri Shimbun




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本間 龍
亜紀書房
2013-09-25