(教えて!リニア:5)建設工事、環境への影響は?:朝日新聞デジタル


東京ドーム51杯分、6379万立方メートルというのは分かりにくい。諏訪湖すべてを埋める事が出来るということだ。
残土活用8割は決定しているように図では読めるが、まったくの嘘。
8割の候補地の情報を得ているというだけで実際には何も決まっていない。もちろん地元の同意も得られていないし、土砂災害警戒地域等、問題の多い場所が含まれている。との事。

良く読んでいただきたい、地元保障は期間限定。

以下記事

 山あいの静かな集落に異変が起きたのは4年前のこと。山梨県上野原市秋山無生野(むしょうの)地区の住民約50人が生活用水に使っていた「棚の入沢(たないりさわ)」が、枯れた。

 この地で生まれた藤本匡規(まさのり)さん(79)は「リニアが原因だ。生まれてこのかた、こんなことは一度もなかった。困った、困った」と嘆いた。沢の上流部で山梨リニア実験線の工事が進むにつれ、沢の水量が減り、渇水時には完全に流れが途絶えるようになってしまったのだという。

 日本の東西の大都市を結ぶリニアのルートには、南アルプスを含む自然豊かな山々、川、谷がある。ここを時速500キロで駆け抜けるのに、ルートは直線で貫きたい。いきおい東京―名古屋の86%、247キロがトンネルの計画になった。

 環境省は、多くの水系を横切るトンネルは、河川流量の減少や枯渇、生態系に「不可逆的な影響を与える可能性が高い」と指摘。毎秒2トンの流量減少が予測される静岡県の大井川では、流域9市1町が「約140万人の生活や経済活動に影響が及ぶ」と訴えている。

 JR東海は、トンネル工事では防水シートの設置や薬液注入などで漏水を減らすと説明。大井川については12月に有識者委員会を開き、検討を始める。ただ、4年にわたった環境影響評価(アセス)の手続きは9月に終わった。今後、抜本的な計画変更を求められる機会は法的にはない。

 トンネル掘削で大量に出る残土も不安材料だ。汚泥やコンクリートなども含めると東京ドーム51杯分、6379万立方メートルの廃棄物が出ることになる。残土は、2割の行き先が決まっていない。ほとんどが東京都など首都圏のものだという。

 ほかにも課題はある。山梨の実験線工事では、上野原市秋山の杉本義隆さん(75)の家の前を、朝8時から午後5時過ぎまで毎日数十台のダンプが通った。「家も何もかもがほこりだらけ。2〜3年は窓も開けられなかった」

 アセスで国土交通相は「地域住民などに対し丁寧に説明すること」「データや情報を最大限公開し、透明性の確保に努めること」をJR東海に求め、環境相は「環境影響を最大限、回避、低減するとしても、なお、相当な環境負荷が生じることは否めない」と懸念を表している。

 9月の会見で、JR東海の柘植康英(こうえい)社長は、コスト削減と環境のどちらを優先するかを問われ、「環境を悪くしてのコスト削減は許されない。環境は絶対の優先事項」と答えている。

 沢の水が枯れた無生野地区では、JR東海が工事との因果関係を認めて井戸を設置。電動ポンプで地下水をくみ上げ、各世帯に給水する設備を整えている。

 だが、住民たちの心は晴れない。「ポンプを使わなくてもいいように、水量豊富な別の沢からパイプで水をひいてほしい」と主張したが、かなわなかったという。ポンプの電気代や保全をJRが請け負うのは30年。「壊れた時の修理は自腹と言われた。結局、大きな会社が都合良くやって、地元は負けてしまうんだ」(斎藤健一郎)