自然は宝箱:ヤマトイワナ 沢は荒れても命つなぐ - 毎日新聞


一つの種を滅ぼす権利が人間にありますか?
南アルプスの山梨側にも細々と生息しています。
砂防堰堤や林道工事で日々その生息域を小さくし、今度はリニアの巨大トンネル(25km)でさらに自然破壊される南アルプス。

あまりに愚かだと思いませんか?

以下記事


自然は宝箱:ヤマトイワナ 沢は荒れても命つなぐ

毎日新聞 2014年10月31日 東京朝刊

 10月中旬、長野県阿智村にヤマトイワナの産卵を見に行きました。ヤマトイワナは、中部地方の太平洋側の渓流に生息しているイワナの亜種です。数万年前の氷河期にはサケと同じく海と川を行き来していたようですが、今は水温の低い山奥の渓流に閉じ込められたように生きています。

 これまで、砂防ダムの建設による川の分断や森林伐採、林道開設による渓流の荒廃によって生息域が減少してきました。また、養殖もののニッコウイワナが釣りのために本来の分布域を離れて放流され、ヤマトイワナとの遺伝子汚染が確認されています。近年では、度重なる台風や豪雨による土砂災害、加えてニホンジカの増加による植生の荒廃などによって一段と沢が荒れ、彼らの生息環境は悪くなる一方です。

 普段、警戒心の強いイワナも、繁殖期につがいになると人目を気にしなくなります。秋が深まると川のあちこちで繁殖行動が始まり、メスは産卵床を掘り、オスはメスを奪おうと寄ってくる他のオスを追い払います。産卵は、観察を始めて2時間以上たってから、ほんの一瞬の出来事でした。(文・写真 日本自然保護協会理事・山と溪谷社部長 神谷有二)=次回は「君の名は?」