リニア新幹線における公共性はどのレベルなのか (エコノミックニュース) - Yahoo!ニュース


以下転載
JR東海は先月、リニア中央新幹線の工事実施計画の認可を国土交通省に申請した。国土交通省の認可を得られ次第、着工に入る予定だ。

 工事実施計画によると、区間は品川−名古屋間となっている。東京都港区から、神奈川県相模原市、山梨県甲府市、長野県飯田市、岐阜県中津川市などに設置予定の駅を通り、286キロに及ぶ。ちなみに総距離の86%がトンネルとされている。用地取得、路盤整備、電気工事を今年度からスタートさせ、軌道工事を来年度から開始。2019年度までに用地取得、25年度までに路盤工事を終え、27年の開業を目指す方針だ。総工事費が5兆円を超えることなどが見積られている。

 夢のリニア新幹線、品川と名古屋間が最短40分で結ばれる。新幹線「のぞみ」では約1時間40分かかっているが、1時間程度短縮できる。利用者の所要時間短縮などの利便性向上等を貨幣換算した便益は、東京―大阪間の開業時点で毎年7,100億円と推計されている。しかも、公共事業ではなく、JR東海が自分たちの経費だけで工事を行う。この背景には東海道新幹線の老朽化、大規模な修繕工事が必要であること。さらに、その際の代替移動手段が必要なこと、大規模災害がもし起きた場合の代替ルートの確保がある。

 しかし、リニア新幹線は疑問視されていることも多い。第一に、採算性である。需要予測が適正か。それだけの利用客数が見込まれるのか。IT技術が進行し、テレビ会議で十分となり、出張が減る可能性もある。第二に、自然への影響だ。トンネルが水源の枯渇を引き起こす可能性もある。既に実験線のある笛吹市などでそうした現象が報告されている。もっともリニアとの関連は証明されていないのだが。

 第三に、生物の生態系への影響だ。環境影響評価では動物・植物・生態系への影響を勘案していて、小さいと予測しているが、実際にどうなるかはわからない。第四に、大深度地下、南アルプスの貫通など前例のない大規模な地下工事だが、膨大な残土の処理場所・方法が、ほとんど決まっていない。

 地元の自治体が市の予算を使って「建設期成同盟」などの運動に参画しているし、議員団も活動している。また運輸関係の審議会でも議論されていている。しかし結局のところJR東海の独自事業だ。もし進められなくなった場合どうなるのか、だれが責任を取るのか。公的資金で穴埋めを絶対しないと言い切れるのか。あまりにも一企業の活動としては公共性に影響を与える影響があまりにも大きいのではないかと筆者は首を傾げざるをえないのだが。(編集担当:久保田雄城)